けんたろう

風の谷のナウシカのけんたろうのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
5.0
【2019.3.8 イオンシネマ シアタス調布⑩】
ミツバチが人を刺すのは巣を守るためなお話。


虫たちを忌み嫌う人間たちはとても醜く、主人公ナウシカはあまりにも眩しくて、少しあからさま過ぎる気がしなくもないけれど、伝えたいことがストレートに伝わってきたのは良かったと思う。

こうして見ると宮崎駿てけっこう一貫していたことに気が付く。彼の作品の中で観ていないものもまだまだあるからぜひ観てみたいものだ。

とりあえず生まれて初めてのナウシカ鑑賞。映画館で観られてほんとによかった。


【2020.6.27 TOHOシネマズ宇都宮⑩】
下着を履かない救世主のおはなし。


人間は愚かだ。
争いにばかり身を捧げ、身をやつし、自ら滅亡への道を歩む。変わるのはいつも用いる武器の種類。剣も銃も持たない我ら日本人でさえ、鋭利な言葉で誰かを突き刺してばかりだ。それゆえ、本来見つめるべき大変な問題へ目線が向かうことはほぼ無い。そういう自らを諫める言葉に対しても「綺麗ごとだ!」「理想論だ!」等の台詞を吐き、まだ対象から目を背けようとする。
人間は愚かだ。

そんな人間の悲嘆が映画の中でこだまする。
「じゃあどうすれば!」
遂に対峙を強いられても、答えがさっぱり分からないのだ。全くどうしようもない存在である。

しかし、どうしようもないからこそ、世に蔓延る偏見に決して塗れぬナウシカの清く正しく凛とした姿勢に輝きを見るのだろう。そして究極の難題にその身を挺して応えんとするナウシカの美しい奇跡に涙をこぼすのだろう。
彼らと同じく僕もそうであった。そしてその心を失いたくない思いが今はある。

たとえどんなに富や健康を失ったとしても、遠く未来へ据えた目の煌めきや、森や海の神秘的な美しさに魅了される心は、決して失わずに生きる。
そうすれば、愚かながらもきっと道は見えてくるのではなかろうか。甘っちょろいながらも、そう思う次第である。