こうん

風の谷のナウシカのこうんのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
4.5
小学校3年か4年の時、時代はバブリーの入口で、新築された町の文化ホールみたいなところでクラスのみんなと観ましたね、「ナウシカ」。

思えばあれが宮崎駿およびジブリ作品との出会いでございました。
そして鑑賞後、男子たちは口に出さずに目配せで理解し合いましたよ。

「…ナウシカのおっぱい大きいね!」

宮崎駿をはじめとしてすべての男子は広義のマザコンであるし、豊かなバストに母性と聖性を感じるし憧れるし、得も言われぬ温もりを想起します。
ドーラに胸にかき抱かれる傷ついたシータ、の場面でグッとくる人、少なくないんじゃないですかね。
別にスケベなこと言いたいんではなくて、宮崎アニメにおけるバストの大きな女性の描写はみな「おっかさん的」であるという、一つの作家性を見出しているだけです。


というわけで前置きは長くなりましたが、少年時の時以来の大スクリーンでの「風の谷のナウシカ」。観てまいりました。

隣の席の、僕と同じ40代くらいのカップルが鑑賞後、「スクリーンで観ると全然違うね」と驚いてましたが、そうなの!
「ナウシカ」もその他の映画の多くは、大スクリーンで上映されることを想定しているの!
酸の海の向こうの暗闇に王蟲の赤い眼がザーッと並んでいる様の絶望感は、スクリーンでなきゃ感じられないの!
細かく描きこまれた蟲たちの描写はスクリーンじゃなきゃ見逃しちゃうの!

ジブリ映画の弊害として、テレビで何度も放映されちゃうから、しかもみんなその度に観ちゃうから、本来の姿をいつのまにか矮小化してしまうんだよね。
それは以前「ラピュタ」でも実感したこと。
フィルム上映で初めて観た時は、「俺の知ってる「ラピュタ」に似ているけど、ぜんぜん違う!」と慄いたものです。
うざいですけど、みなさん、映画はなるべく映画館で観ましょう。
製作者が「家で観てもいいっすよ」と公言していない限り、映画館で観るべきと思います。

特に優れたアニメーション作家である宮崎駿の物体の運動表現や映画的空間の把握は、やはり大スクリーンで観ないとその真価はわからないと思うし、勿体ないよね。

ナウシカの話してないや。
えー、まぁ好きなんすけど、このアニメ映画のあとに原作漫画読んでしまったんで、どちらが好きかは別として、映画「ナウシカ」は寸足らずというか性急な感じがしてしまうのは、玉に瑕。世界観として作り込んであるがゆえに2時間の中での描写としては説明的な箇所が多々あるし、超強そうだった巨神兵がシオシオだったことにがっかりしたちびっ子は少なくないはず(今でも俺はがっかりしてしまう)。
「ナウシカ」を翻案して2時間半の中で描き切ろうとした(結果どんどん変わっていった)のが「もののけ姫」なんだろうなと思う。
いまなら配信アニメで完全版を作ってほしいけど、巨匠にそんな情熱も体力もないだろうなぁ。
観たいなぁ。

好きなポイントを挙げていくときりがないんだけど、ナウシカが濃い瘴気の中でマスク外してサムズアップするところと、ラステルのお母さんに会うところは、ちょっと泣いちゃった。良かった良かった。

ちなみにこの映画を今、観客が全員マスクして観る、というのもある意味応援上映的で、観れる人は今観に行ったほうがいいと思いますですよ。