ジプシー

風の谷のナウシカのジプシーのネタバレレビュー・内容・結末

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

リバイバル上映にて鑑賞したが、これまで本作を避けてきたのは、その世界観に何となく嫌悪感を抱いていたから。オープニングシーンから「気持ち悪い」の連続で、途中で止めてしまっていた。
ところが、スクリーンを前にして最後まで通して観ることで、宮崎駿監督の真摯な訴えを知ることになった。文明後の世界が、心地良いはずがないのだ。監督はその世界観をひたすらに忠実に描いていた。だからこそ現代を生きる自分にとっては、退廃的で恐怖心すら抱かせる。
ここで、ディズニー映画との対比が浮き彫りになると思った。「文明が衰退したその後の世界」というだけで、ピクサーからすれば限りなく面白い題材だ。秀逸なアイデアで、面白おかしいユニークな空想世界を作り上げ、老若男女問わず観るものを魅了してくれるに違いない(両者を比較して優劣を、という話ではなく)。
自然と科学。この二項対立を中心にお話は進む。文明が潰えた後も性懲りもなく科学をひけらかす人類に、“蟲”と化した自然が牙をむく。そこに唯一、ナウシカの心が両者を取り持って最後は救済してしまう。“命に区別や大小はない”というメッセージを感じた。あまりにも純真なナウシカの行動や訴えには、たしかに胸を打つものがあった。そんな、希望に満ちたものがたり。
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