ベイビー

風の谷のナウシカのベイビーのレビュー・感想・評価

風の谷のナウシカ(1984年製作の映画)
4.5
子供の頃から観ていた作品
何度も何度も繰り返し観てきた作品
でも映画館で観るのは今回初めて
好きな作品を映画館で観れて、最高に良かった

やはり近年の映像に慣れてしまっては、36年前に公開された今作の画質の粗さは目立ちますが、でもそれを上回る手書きの温もりは、今も色褪せず作品の品格としてそのまま伝わってきます。

気付けば作品を観ながら心の中でセリフの大半を一緒に呟いていました。お馴染みの場面、お馴染みのキャラクター、お馴染みのセリフがスクリーンの中で生きています。でも映画館のスクリーンに映る今作はとても新鮮で、子供の頃に得たあの時の感動そのまま、初見のつもりで終始楽しむことが出来ました。

それにしても、改めて感じたのはこの作品のオリジナリティ。こんなにも独創的でこんなにも普遍的な物語は、この36年間経った今になっても、僕が観てきた作品の中ではなかなか見つかりません。

ちょうどこのコロナ禍に於いて、自然に抗えない人類の無力さ、生命の本質を見抜けない人間の愚かさ、そんなテーマがこの挿話にも似た物語の中にぎっしり詰まっているのが感じられます。

そしてナウシカの圧倒的な母性に心奪われちゃいますね。何でも包み込んでしまうような懐の深さは理想の主人公像と言えるでしょう。宮崎駿監督はこういう女性を描くのが得意ですよね。

あと映画のスクリーンで観れて嬉しかったのが、庵野秀明氏による巨神兵が火炎を放つ有名な作画シーン。やはり迫力がありました。圧倒的な火力と腐っていく肉体のコントラストはこれまた独創的ですよね。子供の頃はこのシーンがうまく飲み込めず、圧倒的な力の儚さに言いようのない戸惑いがありました。

本当に物語はもちろん、世界観や人物像の描き方が素晴らしい今作。世界にも愛される唯一無二の作品。

以前、映画監督の山崎貴氏があるインタビューの中で「今後、一番撮ってみたい作品はなんですか?」という問いに「風の谷のナウシカ」と図々しく答えていたので、"それは絶対にやめてくれ!"、"この美しい作品を汚さないでほしい!" と、僕はテレビに向かって絶叫していました。

もしそんな話が浮上してきたら、何が何でも僕か阻止してやる!
ベイビー

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