ほーりー

チップス先生さようならのほーりーのレビュー・感想・評価

チップス先生さようなら(1939年製作の映画)
4.5
「チップス先生さようなら」は、ある教師の人生を、時には微笑ましく時にはドラマティックに綴った感動作。何度観ても最後ホロッと涙が出てしまう。

ちなみにこのタイトルはリメイク作のピーター・オトゥール版で知った。といってもこちらは本編をまだ観たことないけど。

あるパブリック・スクールにひとりの名物男がいた。

ミスター・チップスことチッピング氏はかつてこの学校のラテン語教師で、高齢により教師を引退してからも長らく学校に在籍し、生徒や教師からも愛されている。

始業式の日、風邪を引いてしまったチッピングは暖炉の前で眠りながら、かつての日々を思い出す。

今では誰からも愛されるチッピングだったが、新任の頃はだいぶ様子が違っていた。

ラテン語の教師としては申し分無かったが、堅物ゆえに生徒たちと打ち解け会うことができずなかった。

そんなチッピングはある人の出会いにより人生はガラリと変わり、誰からも愛されるミスター・チップスとして成長する。

ま、これから先はネタバレになるのでこの辺で。

どちらかというとチップス先生の人生は楽しかったことよりも悲しかったことの方が多い人生なのだが、それでも自分は幸せだったとさらりと言えるのが、月並みな言い方だけど本当に立派だと感じた。

時には悪さをした生徒をムチで叩く先生なのだが(それが当たり前の時代だから仕方ないが)、そういった場面はセリフで説明したり、カメラをパンしたりして直接描かないことで観ている側に嫌な気持ちを与えないように配慮もしている。

さて、チップス先生を演じたのはヒッチコックの「三十九夜」で有名なロバート・ドーナットで、見事本作でアカデミー主演男優賞を獲得している。

この年の主演男優賞は強豪が勢揃いしていて、「風と共に去りぬ」のクラーク・ゲーブル、「スミス都へ行く」のジミー・スチュワート、「嵐が丘」のローレンス・オリヴィエとノミネートされる中、本作のドーナットが受賞したのは決してまぐれではなく獲ってしかるべきほどの本当に見事な名演だったと思う。

ちなみにこのドーナット、市川崑監督の奥さんである脚本家の和田夏十が自分のペンネームにもするほど大ファンだったという。

あと本作はグリア・ガースン、ポール・ヘンリード、ジョン・ミルズといったのちの名優がまだ新人で端役で出ているのも見所だと思う。

■映画 DATA==========================
監督:サム・ウッド
脚本:ロバート・C・シェリフ/クローディン・ウェスト/エリック・マシュウィッツ
製作:ヴィクター・サヴィル
音楽:リチャード・アディンセル
撮影:フレディ・ヤング
公開:1939年5月15日(米)/未公開(日)