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大進撃の一人旅のレビュー・感想・評価

大進撃(1966年製作の映画)
5.0
ジェラール・ウーリー監督作。

傑作『大頭脳』(1968)等を撮ったフランスの名手ジェラール・ウーリー監督による戦争喜劇の名篇で、フランスの喜劇俳優:ブールヴィル&ルイ・ド・フュネスの名コンビが英国兵救出に乗り出すくたびれ男を好演します。

第二次世界大戦時、ナチス・ドイツ占領下のフランスを舞台に、ドイツ軍に撃墜された英国兵を匿うこととなったオペラ座の指揮者とペンキ職人の男が、彼ら英国兵を安全な自由地帯まで逃がすべく奔走していく様子を描いた“戦争喜劇”の痛快作となっています。

ジェラール・ウーリーのコメディセンスが全編に迸った逃亡珍道中で、ひょんなことから英国兵の救出に与することとなった中年フランス人コンビが繰り広げるフランス縦断の逃亡劇を、行方を晦ました英国兵を執念で追うドイツ将校との熾烈な追いかけっこを中心にコミカルに活写しています。短絡的な一発ギャグの応酬ではなく、起承転結がきちんと考えられた職人気質の喜劇演出がとにかく愉しい逸品で、パリの地下水道をボートで移動したり、間違ってドイツ将校の宿泊室に迷い込んでしまったり、ワイン樽に隠れて敵をやり過ごそうとしたりといったハラハラドキドキのシチュエーションコメディが満載ですし、ドイツ兵との熾烈なカーチェイスや観客の度肝を抜く圧巻の脱出クライマックスに至るまで本格派のアクションシーンでも存分に魅了してくれます。
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