Cisaraghi

紳士は金髪がお好きのCisaraghiのレビュー・感想・評価

紳士は金髪がお好き(1953年製作の映画)
5.0
久しぶりにマリリン・モンロー2。

使われている曲はよく聞いていたのに映画を見たのはこれが初めて。しまった、これ大好きなヤツだった。考えたら、ハワード・ホークスのコメディにゴキゲンなナンバーがついて踊りまでついてマリリン・モンローで、相性のいい女子二人のバディーにしてボケとツッコミで、ファッションも見応えあるとなれば、面白くないワケがない。もっと早く見ればよかった。イケメンはいないけど、男たちもいい男。特にポーカーフェイスのマローンが粋。

いきなりステージで「リトルロックから来た娘」を歌うところから映画は始まる。リトルロックはアーカンソー州の州都だけれど、人口は20万もない。それが州内最大の都市だから、アーカンソーがどういうところか推して知るべし。そのリトルロックから連れ立って都会に出てきたと思われるショーガール二人組、ジェーン・ラッセルとマリリン・モンローがいいコンビ。(二人がリトルロック出身であるとはセリフの中では言及されていないが。)
 
一見クールなのに情の深いドロシーと、無知でおバカに見えるけれどその実現実的でしっかりしてるローレライ、曰く"お金のことをいつも心配していたら、愛する余裕なんてなくなるわ"。一理ある。全然タイプも価値観も違うのに、お互いを大事に思い、揺るぎのない強い絆で結ばれている二人の厚い友情がとてもいい。最後のカットは最高!

そして、声の相性もバッチリ。甘ったるい声のマリリンに大人っぽいアルトのジェーン・ラッセル。真っ赤なラメのドレスで歌う「リトルロックから来た娘」のシーンで華々しくバーン!と盛り上げてからの、さっさと素に戻って楽屋に引き上げるシーンからしてもう好き。見れば見るだけ味の出てくるコメディ。

ジェーン・ラッセル、包容力があって頼りがいがありそうなところと心底楽しそうな笑顔とオチャメな表情がいいし、パンチのきいた歌もウィンクもいい。ファンになった。今ではマリリン・モンローの映画と思われているこの作品だが、ジェーン・ラッセルは決してマリリンに食われてはいなくて、二つの星が二つ並んで光輝くことによって相乗的に華やかでゴージャスで眩い光を放つバディームービーになっている。
 
マリリンの魅力については今更言うまでもないだろうけど、この映画では何と言ってもマリリンの歌がたくさん聞けるのが嬉しい。このルックスにこの声とこの卓抜した歌の表現力が賦与されているのがもう奇跡。この声と歌があったからこそ、マリリン・モンローという奇跡的な偶像をプロデュース出来たとあらためて思う。すごい存在、すごい才能です。

ブロードウェイミュージカルを元にした映画は、何はともあれ楽曲がしっかりしてて粒揃いでいい。スウィングする歌がどれもとても楽しい。
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