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ナチスに仕掛けたチェスゲームのsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
ドイツのフィリップ・シュテルツェル監督による、オーストリアのシュテファン・ツヴァイクの1942年の遺作小説『The Royal Game(チェスの話)』を大胆に翻案したという作品。

チェスの盤面と、棋譜を読み上げる小さな声からの、ロッテルダムの港から船に乗る主人公の男。
すぐには状況把握できないオープニングから、場面は過去にタイムスリップし、オーストリアで公証人として妻と優雅に暮らしていた生活が一転、彼が持つある情報を吐き出させるべくナチスのゲシュタポによりホテルの一室に軟禁させられる展開へ。

ここからどうチェスの話につながるの?的に引き込まれ、彼の名前の件、ホテルと船の2つのシーンの交錯、『オデュッセイア』の引用、現実なのか幻想なのか、混沌とした世界を堪能。
ラストもそういう事だったのね系ではあるものの、すっきり理解できる感じでもなく、脳内混乱が残る読後感が良かった。

主人公役のオリヴァー・マスッチが名演ですが、なんとなくマッツ・ミケルセンにやってほしい感じもしました。
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