イチロヲ

ビートニクのイチロヲのレビュー・感想・評価

ビートニク(1999年製作の映画)
4.0
50~60年代のアメリカで隆盛を誇った「ビート運動」を題材にしている、ドキュメンタリー映画。ジョニー・デップの出演を売り文句にしているが、彼の出演時間はごくわずか。過去の貴重映像と関係者のインタビューが本編の大半を占めている。

ビート運動とは、変わり者が排斥される「体制順応型」の精神に対するカウンターとして起こったもの。知識人や芸術家が道から外れた新しい活動を見せると、たちまち反逆者とみなされた時代の話。

本作を鑑賞して分かるのは、ビート作家というのは一般庶民が心の奥底に抱えている欲望や葛藤を、矢面に立って表現してくれる「代弁者」だったということ。そして、当時の庶民は代弁者を心から欲していたということ。

バロウズが「裸のランチ」を完成させるまでの経緯を語る場面で、実兄が「意味がわからないから途中までしか読んでいない」と、本人の目前できっぱりと突き放すところが、最高に笑える。
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