ジーハ

赦しのジーハのレビュー・感想・評価

赦し(2022年製作の映画)
3.3
2023年度
大阪アジアン映画祭にて・一本目。
(1週間遅れのレビュー)
3月18日から劇場でも公開される日本作品。
監督は日本在住のインド人・
アンシュル・チョウハン。

重いテーマだけにエンタメ性はない。
ただキレイごとばかり並べて作られた
作品ではなかったと思う。
夏奈役の松浦りょうがとても魅力的。

・同級生の夏奈に娘を殺された元夫婦。
・17歳で同級生を殺し7年間服役している夏奈。

夏奈に再審の機会が与えられたところ
からストーリーは始まる。

どんな理由であれ人が人を殺めることは
絶対に許されない。
でも夏奈は未成年犯罪で時々耳にする
「殺すなら誰でもよかった…」の
サイコ側の人間じゃない。
彼女は殺人を犯すきっかけとなるある事実
を誰にも告げず声を上げることなく、
処せられた刑を自分への戒めとして受け
止めていた。


そんな彼女とは対象的に、
ここの大人たちは、
現実的逃避の言い訳と矛盾だらけ。

7年経った今、別々の生活がある元夫婦。
夫・克は娘の死から立ち直れないといい、
酒浸りの日々。しかも国からの被害者給
付金で生活をしてるありさま…

妻・澄子は再婚しながらも、再審中に精神
が不安定になり元夫と関係を持ってしまっ
てたし、澄子の現夫も「君のため」と言い
ながら、嫉妬と偽善を彼女に押し付けてるし、
夏奈の弁護士は正義のためと言いつつ
再審の成功報酬のことしか頭にない…。

でも大人は歳をとってるだけで、
人間としては完璧なわけじゃない。
嘘つきで、弱くて、幼稚だったりする。
そこはリアル感があり、

逆に、若い夏奈がクレバー過ぎる!
自分が犯した罪との向き合い方、
被害者家族への贖罪意識、
大人過ぎて、、この辺はちょっと
リアル感が薄かった。
よく言えば、彼女の聡明さが
大人たちのチープさが際立たせて、
裁判以外の様々な問題をわかりやすく
浮き彫りにする監督が意図する演出だ
ったのかもしれない。
個人的にはラストに若干雑さを感じました。

大人は問題だらけだった夏奈の境遇に気づいてあげられず、法律は彼女の罪を裁いただけで結果何も誰も救えていない法の不的確さと無力さとか、このタイプの映画は見終わったあと…必ず悶々としてしまう。

夏奈役の松浦りょうさん。
舞台挨拶に来られてましが、役とは違う(笑)
笑顔が優しい華奢で可愛い女性でした!
化けるなぁ〜改めて女優さんはすごい★
ジーハ

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