まさ

赦しのまさのレビュー・感想・評価

赦し(2022年製作の映画)
3.3
予告そしてフライヤーの女性、加害少女役の松浦りょうの表情が気になり鑑賞。同級生の少女の命を奪った罪で7年もの間服役している少女の再審の行方とともに、少しずつ積み上げられていた被害者遺族の平穏が軋んでいく様を描く。そもそも7年後の再審という極めてレアな設定はさておくとして、裁判シーンの作り込み、被害者遺族の心情描写、とりわけ劣情をやや際立たせる描写など、随所に覚えた違和感が共感や没入を難しくしてしまった。それでも映像の美しさ、松浦の演技は良かった。テーマ性を期待してしまったのがいけなかったかな。

他のユーザーの感想・評価

H

Hの感想・評価

-
大きなことを話すのであれば何かもっときっかけが欲しいような気がした。ただ個人的に現夫の言動が登場人物の中で1番恐ろしかった。辛さの大小ではなく喜びだったとしても、他人のことを理解できると思うのは暴力的じゃないかな‥
 
Taku

Takuの感想・評価

3.5
アンシュル・チョウハン監督の過去二作が主演俳優の魅力を引き出していたように本作の松浦りょうの存在感も凄い。刑の妥当性が主題かつ代理闘争と化した法廷での無力感と、そもそも彼女に罪を犯させた環境に対する自身の無力感を静かに表現しながら、その鋭い眼光は何かを必死に訴えている。十分反省したように見える被告は無力であり、だからこそ彼女を"赦せる"か否かが真に突きつけられる。
惜しいと感じるのは、そういうテーマに対する追求が中途半端になっている気がするところ。回想と被害者家族のサブプロットがそれを邪魔してしまっているように見えた。また、『コントラ』では合っていた抽象的な作りは、法廷劇である本作には合っておらず、リアリズムが欠けた浮いた雰囲気になっている。結果的に、描きたい内容に対して軽い印象が拭えない。
MALPASO

MALPASOの感想・評価

2.7
映画『赦し』

オープニングとラストの俯瞰ショットがいい。しかーし、台詞、展開が稚拙過ぎ、諸々リアリティが無さ過ぎる。

監督はインド生まれのアンシュル・チョウハン 。役者の台詞回し、演技演出がどうにも気になる。
主人公たちの家のセットもリアリティがなく、裁判のシーンも安っぽい。

被害者側の両親の心情の変化も唐突で説明がつかない。

松浦りょうがものすごいインパクトあるんだけど、それだけで活かされていないし、年齢的に不自然。

残念‼︎
登場するすべての “大人” それぞれの歪んだ正義と、殺人犯でありながらも聡明な夏奈とのコントラストがあまりにもくっきりしていて。その構成上?殺人の重み・罪の意識をリアルタイムで感じきれないまま、夏奈に寄り添うしかないような展開に心の置く場所難しーーー!となる。鑑賞後ゆっくり噛み砕く感じ。
それにしても、りょうちゃんの視線の鋭い事!素晴らしいな。赦しをめぐる本作は今一度、倫理観を問う作品でした。今を生きる人へ。
ジーハ

ジーハの感想・評価

3.4
2023年度
大阪アジアン映画祭にて・一本目。
(1週間遅れのレビュー)
3月18日から劇場でも公開される日本作品。
監督は日本在住のインド人・
アンシュル・チョウハン。

重いテーマだけにエンタメ性はない。
ただキレイごとばかり並べて作られた
作品ではなかったと思う。
夏奈役の松浦りょうがとても魅力的。

・同級生の夏奈に娘を殺された元夫婦。
・17歳で同級生を殺し7年間服役している夏奈。

夏奈に再審の機会が与えられたところ
からストーリーは始まる。

どんな理由であれ人が人を殺めることは
絶対に許されない。
でも夏奈は未成年犯罪で時々耳にする
「殺すなら誰でもよかった…」の
サイコ側の人間じゃない。
彼女は殺人を犯すきっかけとなるある事実
を誰にも告げず声を上げることなく、
処せられた刑を自分への戒めとして受け
止めていた。


そんな彼女とは対象的に、
ここの大人たちは、
現実的逃避の言い訳と矛盾だらけ。

7年経った今、別々の生活がある元夫婦。
夫・克は娘の死から立ち直れないといい、
酒浸りの日々。しかも国からの被害者給
付金で生活をしてるありさま…

妻・澄子は再婚しながらも、再審中に精神
が不安定になり元夫と関係を持ってしまっ
てたし、澄子の現夫も「君のため」と言い
ながら、嫉妬と偽善を彼女に押し付けていた。

夏奈の弁護士は正義のためと言いつつ
再審の成功報酬のことしか頭にないし…

でも大人は歳をとってるだけで、
人間としては完璧なわけじゃない。
嘘つきで、弱くて、幼稚だったりする。
そこはリアル感があり、

逆に、若い夏奈がクレバー過ぎる!
自分が犯した罪との向き合い方、
被害者家族への贖罪意識、
大人過ぎて、、この辺はちょっと
リアル感が薄かったけど、、
よく言えば、彼女の聡明さが
大人たちのチープさが際立たせて、
裁判以外の様々な問題をわかりやすく
浮き彫りにする監督が意図する演出だ
ったのかもしれない。

個人的にはラストに若干雑さを感じたけど、大人は問題だらけだった夏奈の境遇に気づいてあげられず、法律は彼女の罪を裁いただけで結果何も誰も救えていない法の不的確さと無力さとか…
色々と考えさせられる作品ではありました。

夏奈役の松浦りょうさん。
舞台挨拶に来られてましが、役とは違う(笑)
笑顔が優しい華奢で可愛い女性でした!
化けるなぁ〜改めて女優さんですごい★
ktkmkihr

ktkmkihrの感想・評価

3.8
脚本、展開の物足りなさに歯痒さを感じるも、要所で演技の素晴らしさに惹かれるところがあり良かった。

夏菜役の松浦りょうはまた違う作品で観てみたい。今後にとても期待している。
arch

archの感想・評価

2.8
被害者と加害者、司法や道徳上における簡単には揺るがない立場。それを「イジメ」という要素が発覚することによって大きく変化する、そこに本作の意図がある訳だが、上手くいっていない。

1つには「観客は全てをクリアに知りすぎている」という所。刑務所内でトラウマに苦しんでいる姿を見ていること、そしてどうやら被害者家族は知らないということ、その事実を観客が早い段階で知っていることによって「映画的」な面白さは損なわれている。これは全体に言えることで、観客の中で確定していること真偽で登場人物達が揉めるシーンへのノレなさ。ほかにも「分かる、分からない」ということの不透明さら言葉の一方的な性質。その辺を乱暴に扱いすぎていて、事に対する解像度が下がっている。

イジメの発覚というツイストを大事にしすぎた、そして被害者であった娘が加害者だったという事実に、「裁判を降りる」や「同情」という形でしか向き合ってない、言わば逃げてしかないという終わり方には誠意を感じない。
その先を見せてよという映画だった。
cinammon

cinammonの感想・評価

5.0
ドキュメンタリーチックで、御涙頂戴も無くフラットで好き。
罪を犯した人や良くも悪くも表現の場がある人に非難することが容易いことを知れるいい映画。


監督のお国柄、感情的になるシーンが他邦画とは違って個人的におもしろかった。
松浦りょうさん、Megumi様最高
松浦りょうさんの演技
スクリーンに引き込まれる様な感じで
鳥肌が立ちました。
mekko

mekkoの感想・評価

5.0
メインビジュアルの写真が、とても気になって、初日に観に行きました。
とにかく、映像がきれいで、役者さんの作り込みに魅せられました。特に、加害者役の松浦さんの、仕草、目つき、声、、、引き込まれました!最後の元夫婦が歩いている先に、何があるのかな?と、想像して終わるのも良かったです。
「赦し」の感想・評価を全て見る

まささんが書いた他の作品のレビュー

死体の人(2022年製作の映画)

3.9

作品の感じからチョイス。そして唐田えりかが出てることも理由の大きな一つであることを否定しない。生と死、好きなことを続ける難しさと尊さ、親への愛、子への愛、と色んな要素がこれでもかと詰め込まれている。強>>続きを読む

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.6

庵野秀明監督作てことで鑑賞。仮面ライダーをよく見てた訳ではないので、本来の仮面ライダーのテイストがどこまで残されているのか、どの程度「シン」なのかは分からない。一方で庵野さんらしさは随所に感じられた。>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

3.6

本作はスピルバーグの自伝的作品という。夢と希望に溢れたキラキラした世界というよりは、家族間の葛藤や、しょっぱい青年時代のエピソードが紡がれていたのは、意外な展開でもあった。でもそれらから伝わってくるの>>続きを読む

いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

3.5

男手一人で幼子を育てた余命わずかな父の残された日々を描く。里親探しの日々と父子二人の時間を淡々と描いていく。緩やかに時が流れ、胸に強く迫り来るというほどのものはないものの、父の気持ちに思いを馳せると、>>続きを読む

オットーという男(2022年製作の映画)

3.9

少し予想はしていたものの、それ以上に涙腺は崩壊してしまった。街の細かいルールにうるさくて、口悪い頑固親父オットー。最愛の妻を失くした喪失とともに紐解かれていく二人の育んだ愛の温かさに既に涙腺は緩む。そ>>続きを読む

Winny(2023年製作の映画)

3.9

Winny のことは知ってた。当時、職場でだったか、自分のパソコンに入れるな、使うな、削除しろ、みたいなことを言われたような気がする。そんなこともあって、Winny というプログラムになんとなくダーク>>続きを読む