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赦しのarchのレビュー・感想・評価

赦し(2022年製作の映画)
2.8
被害者と加害者、司法や道徳上における簡単には揺るがない立場。それを「イジメ」という要素が発覚することによって大きく変化する、そこに本作の意図がある訳だが、上手くいっていない。

1つには「観客は全てをクリアに知りすぎている」という所。刑務所内でトラウマに苦しんでいる姿を見ていること、そしてどうやら被害者家族は知らないということ、その事実を観客が早い段階で知っていることによって「映画的」な面白さは損なわれている。これは全体に言えることで、観客の中で確定していること真偽で登場人物達が揉めるシーンへのノレなさ。ほかにも「分かる、分からない」ということの不透明さら言葉の一方的な性質。その辺を乱暴に扱いすぎていて、事に対する解像度が下がっている。

イジメの発覚というツイストを大事にしすぎた、そして被害者であった娘が加害者だったという事実に、「裁判を降りる」や「同情」という形でしか向き合ってない、言わば逃げてしかないという終わり方には誠意を感じない。
その先を見せてよという映画だった。
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