べし酒

赦しのべし酒のネタバレレビュー・内容・結末

赦し(2022年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

全体的に頭でっかちで生硬な印象。

こう構成したいという思いが先行して、会話もその流れを作るためだけに交わされてる様に思えるし、だからそれぞれのキャラクター性に深みも感じられず。

演出面でも各カットが短く切り替えも早すぎて、こちらに会話の意味を考えたり余韻を感じる暇を与えてくれない。尺短くしたいだけならMEGUMIと藤森の岡崎夫妻ラブシーンそんなに長くいらんやろと(笑)

7年前の公判で夏奈がイジメのことを言わなかったということが最後の方で分かるんだけど、なぜその時は言わなかったのかが不明。
今回言い出した理由としては、自分がこれから出来ることとしてイジメに悩む人たちの助けになりたいということを克に伝えてはいるんだけど、憤りからの心の変遷の具体的なことは劇中では描かれず彼女の語りのみなので最後まで彼女の心の内に確信持てず、克が判決後に彼女の姿を見に戻った時もしかしてどんでんあるの?とか思っちゃった。

同様の思いは作品のテーマに関わる肝であろう夏奈と克の直接対峙シーンにも感じた。
彼女を殺そうと思っていた筈の克がなぜ心を変えたのか?彼女の言葉の力なのか或いは握りしめたガラス片で流れた血で何かを思ったのか、どちらとも判然とせずモヤるのはちょっと作品的な盛り上げ部分としては残念。

こちらの読む力不足なのかもしれないが、ラストの克と澄子の歩き俯瞰シーンもちょっと意図が掴めなかった。
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