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ドギョム:アーサー王への軌跡 ~韓国ミュージカル『エクスカリバー』~のKATOのレビュー・感想・評価

3.9
■「アイドルだから」を言い訳にしない姿勢

日本でも最近は特に多く見られるキャスティングだが、個人的にはあまり好ましくないと感じている。そもそもの土台ができていないアイドルが、一流の俳優と並ぶとどうしても見劣りするからだ。声量だって全然違うし、動きもいまいち。日本は、批判よりもファンたちの絶賛の声が届くが。

本作は、SEVENTEENのメンバーであるドギョムがミュージカル『エクスカリバー』の再演に挑む姿を追ったドキュメンタリーである。
韓国では、日本よりもアイドルのミュージカルへのキャスティングに批判的な声が出やすいらしいというのを見かけた。韓国アイドルといえば、歌もダンスも一流でなければ務まらないし、一流だからといって売れるわけでもない。かなりシビアな世界だ。そんな世界で戦い抜いてきたドギョムですら、ミュージカルに挑戦するにあたって歌い方を学びなおすなど努力を重ねている。
「アイドルだから」は言い訳にならないし、そのことを誰よりも理解できている。ドギョムの熱量と姿勢がとても好きだと思った。そして、プロとしてこうあるべきだとも。

■自分の実力を客観的に見れる謙虚さ

リハーサル現場も何度か映っていたが、とにかくドギョムの謙虚さが印象的だった。年齢もそれほど高くないということもあるだろうが、きちんと自分からいろんなキャストとコミュニケーションをとって、話し合いをして作品を作り上げようとする。
そして、千秋楽では号泣している彼のまっすぐさが、多くの人に愛される理由なんだろう。そのひたむきさに、改めて私はドギョムを含むアイドルのことが大好きで、ファンになってしまったんだと感じた。

■いつもベストを更新し続けてくれるアイドルが好き

私の好きなアイドルも、ミュージカルに挑戦して苦しんでいた姿を見ていたけれど、やっぱりそのプレッシャーは大げさじゃなかったのだろうというほどのレベルの高さ。脇役だとしてもとにかく全員の動きに一体感があり、声の響きもすべてが素晴らしい。
ドギョムの声が物足りないと思うほどに、声が響いているのである。すごく酷な現場だなぁとも思ったし、そんな仕事に挑んでいく彼らに改めて尊敬の念を抱いた。
どんな現場でも、どんな仕事でも、自分を応援してくれるファンのためにベストを更新し続けていく。大変な仕事で、きっとツラいことのほうが多いだろうと思うけれど、それでも笑顔を見せてくれるアイドルってやっぱり偉大だと思う。
どんな姿の彼らだって愛せる自信があるけれど、それは私たちがそう思えるほどに努力をし続けてくれている結果なんだろう。
好きだという気持ちを誇りに変えてくれるアイドルってやっぱり偉大だ。
笑顔を見せながら挑み続けるドギョムの姿で、改めてそんなことを感じた。
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