はぁ、切ない…
運命を意味する韓国語「イニョン(縁)」をモチーフに描かれた、大人ビターなラブ・ストーリー。個人的には、如何にもなラブ・ストーリーは苦手だけどコレは予想に反して刺さった。
もっと言えばラブ・ストーリーの皮を被ったこの世の摂理を描いた作品だった。
ソウルで初恋に落ちた幼なじみのノラとヘソンが、24年後に36歳となり、ニューヨークで再会する7日間を描く。
久しぶりに顔を合わせたふたりは、ニューヨークの街を歩きながら、互いの人生について語り合い、自らが「選ばなかった道」に思いを馳せるのだった……。
正直、良くあるラブ・ストーリーを思わせる序盤は斜に見てた。オンラインでの再会、遣り取りには現代的な感情の薄っぺらさも深読みした。…ものの、一方では映像マジックに引き込まれてた。
繊細に丁寧に紡ぐ心情描写が素晴らしい。
とりわけ再会のシーンは見入ってしまった。
交互に捉える二人の表情。沈黙に語らせる二人の心情。息が詰まりそうで、苦しくて、切なくて…。二人の演技力頼みの意味でも素晴らしかった。
女性の強さと男性の純粋さの対比も感じる。
見進める毎に深まる人生観。
バーにはじまりバーに終わる、そして途中登場する回転木馬と、輪廻を示唆するメタファーが作品全体を包み込んでる。
もしもあの時…、選ばなかった道を想像すると人生の不思議も考えさせられる。
先日観た『デジャヴュ』にも通じる、前世(パスト ライブス)から現世へと脈々と流れる輪廻転生の思想。
袖振り合うも多生の縁…
改めてしみじみ考えさせられた。
そして、観終えて韓国語“イニョン“の響きが、優しく切なく記憶された。
一般的には物足りないと感じる(かも知れない)男性像でもあるけれど、私は好き。
ヘソンが素敵!珍しく加点してしまった。笑