むーしゅ

ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日のむーしゅのレビュー・感想・評価

3.4
 イギリスのベストセラーGeorgia Nicolsonシリーズを映画化した作品。原作本は"Angus, Thongs and Full-Frontal Snogging(アンガス(ペットの猫)とTバックと全裸でのキス&抱擁)"という攻めたタイトルですが、映画は"Angus, Thongs and Perfect Snogging"と「全裸」が「完璧」に置き換わり青少年仕様になっています。原作によると猫のアンガスはスコットランドで拾ったようですが、スコットランドのアンガスといえば完全にアンガスビーフですね。

  鼻にコンプレックスを持つ14歳のジョージアは、新学期早々ハンサムな転校生ロビーに一目惚れをする。ジョージアは彼に振り向いてもらうために友人たちと奮闘するが、一方家族の中では引っ越しの話が出始める・・・という話。所謂モテない女子の奮闘記的物語で、邦題「ジョージアの日記」は「ブリジット・ジョーンズの日記」から着想を得ていそうですし、妹分的位置づけでしょうか。なぜか「~の日記」系はさえない主人公の話が多く、「グレッグのダメ日記」などもそうで、グレッグがアメリカの少年なのに対し、ジョージアはイギリスの少女。いっそ「ジョージアのダメ日記」なんて邦題もありかもしれません。

 さて本作の魅力はジョージア役のGeorgia Groome。不細工ではないけど野暮ったい、そんな雰囲気を楽しめる子で、10年後に美人になっていそうな子という感じ。大人になったら恥ずかしくなるような価値観で動く少女を全身で熱演しています。ディズニーチャンネルでは、さえない女子でも売り出し中の子役に演じさせるので、最後にドレスでも着て出てくるとトップとれる容姿に仕上がってしまいますが、Georgia Groomeは最後まで近所の中学生みたいで、その親近感がいいですね。ちなみに今年は公開からちょうど10年ですが、最近ちょっと太ってきているようで今度は痩せればきれいな子にランクインしそうな容姿になっています。また相手役のAaron Taylor-Johnsonがかっこよすぎますね。演技は別に普通ですが、顔整いすぎてて驚きます。まぁこの公開翌年に23歳上のSamantha Taylor-Woodと結婚していることの方が驚きですけども。

 そして本作はPG-13だけあって、ティーンが喜ぶ下ネタ的要素の散りばめ方が上手いです。とりあえず女子も男子もTバックとヌーブラにこだわりすぎ。10代も後半になると性に対してよりリアルな話になりますが、前半だとまだまだとりあえずは大人に憧れてなんでも挑戦したいだけ。それなのにちょいちょい行動は幼稚だったりもするわけで、そのギャップが面白いです。本作冒頭でジョージアは、ハロウィンパーティーで皆がゴージャスで大人っぽい仮装をする中、オードブルの仮装でそろえようと約束した親友3人に裏切られ、一人だけ力作の赤ピーマン入りオリーブの仮装で登場しますが、ここだけで作品に心を捕まれます。やっぱりコメディは掴みが大事ですね、冒頭ハイライトでもいいじゃないですか。逆に冒頭からおやおや?となるコメディは最後まで戻ってこれないイメージもあります。あまりにもくだらないけど、等身大に生きてる女の子らしさを感じるこのシーンだけでも是非見て欲しいですね。ちなみに本作は"Buster International Children's Film Festival"で作品がAudience Award、Georgia GroomeがBest Child Actorをそれぞれ受賞しています。欧州系ティーンにはやはりうけるようで、日本でも中学生くらいの女子にはズバッと刺さる映画かもしれません。

 さて本作はニコロデオン・ムービーズなのに初のPG-13指定を受けた作品ですが、アメリカではDVDスルーとなった関係で「そんなガキなら捨てちゃえば?」に初PG-13の称号を奪われました。とはいえ作品としてこっちの方が全然良くできているので、なんだかもったいない作品でした。残念系主人公が好きな方には是非見て欲しいです。
むーしゅ

むーしゅ