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Smoke Sauna Sisterhood(原題)のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

Smoke Sauna Sisterhood(原題)(2023年製作の映画)
4.0
[サウナで精神を浄化するエストニアの『デカメロン』] 80点

傑作。アナ・ヒンツ(Anna Hints)単独初長編作品。2014年、南エストニアのVõromaa地方のスモークサウナがユネスコ無形文化遺産に登録された。本作品はサウナ大国エストニアにおいて生活と密接に結び付いたスモークサウナ文化を描いている。サウナは自分自身を清める神聖な場所であり、エストニア人にとって始まりの場所でもある(出産直前の妊婦はここで身体を温めてお産を楽にするらしい)。そんな場所に様々な過去を持った女性たちが集まり、自身の辛い経験を語ることで、ある種自分自身を精神的に浄化するような作品だ。彼女たちの語る身の上話は多岐に渡る。自分自身の体型の話、乳がんになった話、暴力的だった母親との関係の話、レズビアンであることを隠してきた話、祖母に暴力を振るい続けた祖父の話など、内容はかなりヘビーなものが多いのだが、本人たちが話すと決めた覚悟によるものか、寧ろテンポよく語られていく。なんだか『デカメロン』みたいだ。彼女たちが裸体を突き合せて語り合う空間にカメラは潜入しているため、どこか自分も参加者の一人になったような気分になる。カメラは彼女たちの身体の一部分に目を向け、彼女たちのそのままの美しさを際立たせながら、空間そのものが持つある種の匿名性を視覚化していく。

中々衝撃的だったのは、真冬の湖に穴を開けて飛び込むシーンと、使ってない期間は肉を並べて燻製室にしていたシーン。前者は分からんでもないけど、後者は空間の有効活用というか、正しく生活や文化の一部としてサウナという施設が組み込まれている感じがした。
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