たけちゃん

虎の尾を踏む男達のたけちゃんのレビュー・感想・評価

虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)
4.0
行く末こそ大事じゃ!


黒澤明監督・脚本 1945年製作
主演 大河内伝次郎


勝手にお知らせシリーズ「今日は何の日」
本日、2月20日は「歌舞伎の日」なんですよ。
なんでも、1603年の2月20日に、京都の四条河原で出雲の阿国が歌舞伎踊りを始めたことに由来するそうです!すごい。


いや、さすがに歌舞伎はわからん( ¯−¯ )フッ
でも、興味はあるんですよ!
日本人ですからね( ˘ ˘ )ウンウン
海老蔵さんや勧玄くんのニュースもあるし。
でもさぁ、北海道の地方民に歌舞伎を観るチャンスはない(`ε´)

そんな歌舞伎とは縁のない僕が歌舞伎の日に何を観ると言うんだ……。
で、行き着いたのが黒澤明監督でした!


黒澤監督、大好きですが、観てない作品もあるんだよね~。これなんか、その代表格(笑)
こんな機会でもないと観ないので、意を決して借りてきました←ソレホドノコトジャナイ


ってことで、「虎の尾を踏む男達」です!
いやぁ、すごい!
めちゃめちゃ面白い!
これ、1945年9月製作ですよ!
わずかひと月前までは戦争してたんですよ。
この頃はポツダム宣言による無条件降伏下で、GHQに管理されていたんですよ!

そんなこと考えると凄すぎて( ˘ ˘ )ウンウン
調べてみたら、撮影中に終戦を迎え、この撮影は終戦後にも行われたそうで、進駐軍が見学に訪れたらしい。その中には従軍していたあのジョン・フォード監督もいたとか!黒澤監督との関係を考えると驚きのエピソードですね。


作品の元は能の「安宅」で、それを歌舞伎に興したものが「勧進帳」です。
「勧進帳」は僕でも知ってますからね。
1702年に初代市川團十郎が「星合十二段」に取り入れ、1840年に五代目市川海老蔵が能の様式を取り入れ「勧進帳」として仕上げ、初演とされたそうです。
その後、市川家のお家芸として代々演じられてきました。


時は1185年、壇ノ浦にて平家滅亡。
まさに驕る平家は久しからず!
しかし、天下を取った頼朝は、自らの地位を守らんと殊勲のあった弟義経を朝敵として捕縛する命を出すのです。
そこで奥州藤原氏を頼って、山伏となって逃れる義経。
その義経を捕えんと関所を設けた中での話が、この「勧進帳」です。


僕がリードで選んだこの弁慶のセリフ、戦争へと向かった日本を揶揄しているようで、心に響きました。
関所をどう攻略するか意見を出し合う中で、弁慶が仲間たちに言うのです。戦って関所を抜けるのは容易いが、その後が大事なんだ、と。

それを日本の姿に置き換えると……
真珠湾攻撃を実行し開戦することは容易い。
でも、大切なのはその後、行く末なんだ、と。
生き抜くために知恵を使い、時には主君義経を打ち据えてその場を逃れる。そんな弁慶のように、当時の日本に、天皇に抗い意見する者なんていませんでしたからね。そんなことを考えて観ていました。



その主役弁慶が大河内伝次郎さんね。
重々しくて、素晴らしかったなぁ
でも、ところどころ、聞き取れず……(* ̄ω ̄)
実はDVDには字幕選択ができたので、2回目として字幕版を観ました( •̀ω•́ )و✧
1時間ないから、2回観て一本分(笑)


荷物持ちの強力(ごうりき)役の榎本健一(エノケン)さんがいい。
歌舞伎の演目にエノケンを連れてくるところが、やっぱり黒澤監督のマジックだよねぇ。
この人がいるから映画としての面白みが出てる。
そして、さすが日本の喜劇王!動きがまるでチャップリンです( ˘ ˘ )ウンウン


義経を演じるのが十代目岩井半四郎、本名は仁科周芳(ただよし)さん。なんと美青年!
この方、仁科亜季子さんのお父さんでしたか!

片岡役は大好きな志村喬さん
もう少しセリフがあると嬉しかったけど、存在感がありましたね。

常陸坊役は横尾泥海男さん
最初、この人が弁慶かと思ったわ(笑)

亀井役の森雅之さんは本名有島行光って言って、あの小説家有島武郎の息子なんですって。ビックリ!


関所を守る冨樫役は藤田進さん
黒澤映画では「姿三四郎」の主役で知られますが、僕らとしては「ウルトラセブン」のヤマオカ長官でしょうかね( ˘ ˘ )ウンウン


あと、音楽を担当した服部正さんって、あのラジオ体操を作曲した方なんですって(^-^)
和製ミュージカルと言われる今作での音楽も印象的でしたね!


本物の歌舞伎を観たことがないので比べられませんが、「勧進帳」って実に面白い話なんですね!ほんと、勉強になりました( •̀ω•́ )و✧
生きてるうちに歌舞伎も観たいなぁ( ¯−¯ )フッ