まるもっと

バイオハザード:デスアイランドのまるもっとのレビュー・感想・評価

3.0
前作「ヴェンデッタ」の続編となる今作。
各シリーズの主要キャラが一同に集まり、
カプコン版「アベンジャーズ」を思わせるティザー広告に、
胸を踊らせたファンも多かったはず。

「一見さんお断り」作品なので、
過去作を履修をしていない人にはオススメ出来ない。
映画ファン、作品初期から触れ合ってきたファンとして
どういったものが見られるか、公開初日に鑑賞。


今作はゲームとして体験したならば、
楽しめる部分は大いにあっただろう。

ゲームならば各所に散らばる研究員の手記などで
物語の補足となる部分を回収しつつ、
時間を掛けて自分の中に染み込ませていけるが、
映画となると限られた時間で全てを表現するには
表現したいものが多い作品がゆえ、
説明不足、説得力不足が生じ
詰め込んだ感は否めない。

「5人の主要キャスト」が良くも悪くも摩擦を起こし、
見せ場は多くあるが、ご都合的なものが多い。
また、今作の主役であろう、
「ジル・バレンタイン」に感情移入仕切れないのも、
前述した「5人の主要キャスト」問題によるもの。

ーーーーーネタバレーーーーー

「2」に登場するレオン・クレアが
アルカトラズ島へ仕向けるための「設定」に過ぎず、
ジル・クリス・レベッカの「1」のキャラに絞り、
前作「ヴェンデッタ」の続きを
前作に登場しないキャラたちで終わらせるという方が、
深掘りも出来て、
今作のカタルシスは何倍にもなったのではないだろうか。


今作を最後まで見て違和感を感じたのは、
映画内で語られる設定が説明不足ゆえ
説得力に欠けてしまっていること。


薬を投与され発症されるまでの時間。
観光地になっているアルカトラズ島に
当時の武器庫が都合よくそのまま放置されている状況。
民間軍事会社のいち兵士(ディラン)の異例の成り上がり。
牢屋内にいたクリス・クレアの脱出法。
あれだけ攻勢だったマリアが尺の都合上、あっさり退場。
ラスボスが触手一振り以外、印象的な攻撃なし。
etc…。


パンフレットには裏設定があり、
尺の問題で制作側はエンタメ方向に舵を切ったようだが、
そうなると映画内で広げた風呂敷に対し
「テーマ」は浅く「論理」は破綻を起こす。

テーマと作品の結びつき、
論理や裏付けが気になる人には、
別売りパンフレットで制作者の談を読まなくてはならない。


前作から6年ぶりの新作だが、
CGのクオリティ、エンタメ度は増したが、
映画全体としてのクオリティは下がったよう感じる。

ゲームの方もナンバリングが進むに連れ、
よりエンタメ要素に舵を切っているので、
このシリーズは今後、
そういった目線で楽しむのが正解なのかもしれない。


※余談
キリスト教の解釈になるが、
水に浸かる=生まれ変わるという表現を、
ディランは水に浸かってB.O.W化し、
ジルは入水後に過去の呪いを断ち切るという
同じ描写で正反対の構造を表現するという場面は個人的には好きだった。
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