ヒノモト

めくらやなぎと眠る女のヒノモトのレビュー・感想・評価

めくらやなぎと眠る女(2022年製作の映画)
3.8
アニメーション作家のピエール・フォルデス監督が、村上春樹の6つの短編「かえるくん、東京を救う」「バースデイ・ガール」「かいつぶり」「ねじまき鳥と火曜日の女たち」「UFOが釧路に降りる」「めくらやなぎと、眠る女」を再構築したアニメーション映画。
原作未見で、日本語吹き替え版を鑑賞。

2011年の東日本大震災の数日後の東京で、被害を伝えるニュースを観続けたキョウコは、置き手紙をのこして小村の元から姿を消す。一方、小林の同僚の片桐が家に帰ると巨大な“かえるくん”が待ち構えていて、迫りくる次の地震から東京を救うために片桐に助けを求める。2つの物語を中心として、その顛末を描く作品。

作品自体は大変良かったです。
実在の俳優の演技をトレースして作成されているだけあって、リアルな人間の動作や仕草が再現されている部分と、パートナーを失った喪失感など内面的な心象風景の具現化が数多くあり、アニメーションだからできた表現、創造力の豊かさがダイレクトに現れていました。

異なる短編作をつなぎ合わせているため、ブツ切れ感はあるものの、意外とまとまりよく見えました。

日本語版は「LOVE LIFE」「淵に立つ」などの深田晃司監督により綿密な調整が行われた内容になっていて、吹き替えで観る価値は高かったです。

キャラクターデザインがいかにも海外から見たアジア人で、「かえるくん」以外はあまり魅力的には感じませんでしたし、年齢よりも老け顔に見えるのも違和感がありましたが、声の魅力もあり、不可思議な逆輸入な日本の光景も含めて、上手く日本向けにチューニングされいること自体は良かったです。
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