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めくらやなぎと眠る女のkyuuuriのレビュー・感想・評価

めくらやなぎと眠る女(2022年製作の映画)
3.5
村上春樹だから、見に行った。
村上春樹が好きそうな客層だった。
隣にアンニュイなイケメン青年座ってた。
文学青年!友達いなさそう。

雰囲気としては娯楽映画じゃなくて、文学作品だった。(これは分かっていたことだけれど。)

村上春樹の6つの短編を1本の長編にまとめあげたアニメーション映画。

キャラクターが生々しい。
生活感を感じる。

日本語の声優さんが成功してる。
アンニュイな雰囲気とか不吉な感じが素晴らしかった。

ファルデスの画風の特徴らしいんだけど、だいぶみんな老け顔。
16歳に見えないだろ、っていう。
アジア人の顔を全部ミックスしたみたいな。
海外の人が想像するアジア人の顔っていうか。

そして、東京のど真ん中のあの位置に富士山は見えないだろ、釧路にそんなパリにあるような本屋はないだろ、とかさ🤭
色々なチグハグ感が、逆に非現実的でファンタジーぽかった。

でも、原作では神戸の震災だったところを、3.11にしたところは日本人の私からみたら違和感で、不一致でノイズだったな。原作通りにしておいてくれたら良かったのに。

そして、私はこれでも一通り村上春樹作品に目を通しているわけだけど、短編6つを長編にしちゃったのは、知らなかったし、びっくりだった。

いやいや、これとこれを繋げちゃうのかってさ。
原作知ってるからこそ、そういう知識が邪魔をして、楽しめないところもあったけど。
でも何も考えずにああやって繋げてみたらみたらで、そうも見えてくるから不思議だった。

あのまま“ねじまき鳥”の長編がはじまりそうだった。
個人的には、カエル君のところ、すき。

“見えるものが全てではない”
やっぱり村上春樹の言葉のマジックが良い。
その村上春樹の文章を“音”で聞けただけで満足だし、本を読み返したくなった。

村上春樹好きだし、+0.5してるよ。
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