継

地球爆破作戦の継のレビュー・感想・評価

地球爆破作戦(1970年製作の映画)
3.9
“機械が思考する方法をひとたび確立したならば, 我らの如きひ弱な力はすぐに追い抜かれるだろう, 実権は機械が握る事になる.”                     ─アラン・チューリング


冷戦下のアメリカ。
コンピューターの権威フォービン博士は外部からのあらゆる攻撃に対応可能なスーパーコンピューター “コロッサス” を開発する。
人間の何倍ものスピード・精度を誇る演算処理の能力と, 感情を持たない事でそれに左右されない正確で冷徹な判断遂行が可能な事から,
アメリカの防衛システムの全権はコロッサスのコントロール下に置かれる事となるが…。

原題でもある『COLOSSUS』という名は, アラン・チューリングの生涯を描いた『イミテーションゲーム』にも世界初のプログラミング可能なコンピューターとして登場するから, これへのオマージュなのかもしれません。
邦題は… 何でこうなったww?(^o^;

'70年, アメリカ製.
ネットワークの暗がりで出会い, 繋がるシナプス。
冷戦の構図の中, 敵対する大国同士の “頭脳” がまさかの出逢い〜結託をするという, 発想からして見事なハードSF。
米ソに対する第3極が台頭し,(束の間の)平和が実現するフィクションなら例えば『ウォッチメン』『X-MEN (1st ジェネレーション)』とか, 後のヒーローSFでも描かれてきたけれど,
チューリング・テストをクリアし, 読唇術を使って会話を読み取ったHAL9000 (2001年 宇宙の旅 ('68))を冷戦時代に置き換えたような, 今で言う自律型人工知能を地で行くような存在=コロッサスは, 当たり前だけどDr.マンハッタンやミュータント達とはリアリティが全く違くて。

0と1で織りなす管理社会。
人間の思惑を超えたスピードで進化, 暴走するAI, シンギュラリティ。
自ら戦争を止められない人類への皮肉や嘲(あざけ)りを目一杯詰め込んで描かれたであろうフィクションに, 追いついてしまった愚かな現実。。
“ここで終わるのか‥” と唖然とするエンディングは, チューリングが警告を発した予言めいた冒頭↑の未来そのものに映る。

『イミテーションゲーム』レビューで書いた, “2台のAIが人間には理解不可能な言語で会話し始めた‥” というのが, 既に40年以上前に描かれていた衝撃。
慌てた研究者がプラグ引っこ抜いたってトコまで同じで, もはやあのNewsは今作から生まれたフェイクとしか思えない。。
物凄く鋭利な先見性, そして物凄く愚かな人類… 何でこうなったww? 情けなくて涙が出そう(TT)オカシイナ, “バグ” カナ…?
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