【グレーゾーン】
好印象の作品だ。
アスペルガー症候群のアーティスト屋内と、春、さらに、それを取り巻く人々それぞれの”はざま”を対比させながら見つめるストーリーになっている。
先般、テレビのニュースが、発達障害と、そうではない人との間とも云える”グレーゾーン(或いは、はざま)”とカテゴリーされていた女性のえい児遺棄事件について取り上げていた。
正式に発達障害とされずに、教育や社会との関わりで取り残された状態で苦悩する人が少なからずいるのだが、決して、えい児遺棄は許されないものの、こうした悲劇が少なくなるように社会として考えることはあるはずだという内容だったように思う。
(以下ネタバレ)
屋内は発達障害のひとつアスペルガー症候群だが、公にしているわけでさないから、周りの人々は、単に、変わってる人と言ったり、知ったかぶりして、”グレーゾーン”とか、”はざま”とカテゴリーしようとする。
春の屋内に対する取材は、人物としての興味になり、更に、好奇心から、恋愛感情に移り変わっていくが、この変化も実は”はざま”ではないのか。
更に、左側に人がいると心地良く感じる春も、実は、発達障害ではないものの”はざま”にいるのと同様ではないのか。
そして、こんな感じのこだわりの強さを持つ人は存外に多くいるのではないのか。
僕たちは、自分自身のこだわりと向き合って、他の”グレーゾーン”や”はざま”を理解することが出来るのではないのか。
また、屋内も春とのことでは、まさに”はざま”に立っていたはずだ。
僕たちの人を好きになるとか、一緒にいたいとか、幸せと感じる気持ちは、”はざま”で常に揺れ動いているのではないのか。
とても優しい気持ちになれる恋愛ストーリーだと思う。