イベリー子豚

はざまに生きる、春のイベリー子豚のレビュー・感想・評価

はざまに生きる、春(2022年製作の映画)
3.7
「【会話劇】として観ると」
「あまりにも普通で」
「ユニークさの欠片もないけど」
「人間関係お悩みラブストーリーとしては」
「オシャレで繊細で丁寧で儚い」
「お仕事ドラマにしては」
「パワハラ?が定型文で
コンプライアンス委員会必須な職場だけど」
「【メイビー!】のバックナンバーがカッコ良すぎで」
「打ち上げ会場が普通に素敵な」
「桜と夏と海が似合う」
「『まともじゃないのは皆も一緒』映画」
「《プラズマクラスターって除霊も出来るのね》」
「《春は、絶対に来ます》」
「《幸せの意味を辞書で調べてみたんです》」
「【感動シネマアワード】……今後が楽しみですね」





なるほどなるほど。

「笑い」レベルを
「お笑い興味ない人」レベルに絞った
『Ribbon』が一番、近いのかな。


少なくとも
『ムーンライト・シャドウ』よりも
全然、前衛的じゃなくて庶民派。


シンプルに好感度高くない登場人物たちも
リアルだと思うと説得力ありますね。


で、圧巻の【宮沢氷魚】くん。

八百万のマイノリティ具現者。

会話の最中、一度合わない視線や
ディス・コミュニケーションを予感させる
衝動的な空気感。


良くも悪くも
「素朴」「普遍」が飽きを呼ぶ単調な物語に
オーガニックな吸引力をもたらしてます。


そして恐らく裏テーマの「グレーゾーン」。

「明らかに【違い】はあるのに
医学的な対象とは認定されず、
社会や他人とのバランスに悩み、ハードモードを強いられる人々」


途中から思っていたのは
きっと【小向春】自身もそうなんでしょうね。


自分も含めて「大なり小なり」全員が抱えていること。


感情が伝わらないのも
思った通りのリアクションが返ってこないのも
アスペルガーに限った話じゃない。


恋愛にフォーカスされてたので
見落としそうですが
どうやら多角的な視点で構成されていたようですね。


なんせ衣装や美術に手抜きがない。

お仕事シーンはテンプレだったけど
飾ってある表紙がイチイチ、カッコいいんだもの。


ラストもさりげなさと爽快さが心地よし。


あとは会話だけ……
坂元さん……今泉監督……金子ありささん……な
リアルでクスっと最後にグっと出来る映画を
次回は観てみたいですね。