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瞳の奥の秘密のchakoのレビュー・感想・評価

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)
4.0
25年前に起こった残虐な殺人事件の裏側に潜む謎とは・・・?

アルゼンチン発の上質なサスペンス。
これはなかなか傑作でした。

物語は女性教師が暴行を受けて殺された25年前の事件を、刑事裁判所で働いていたベンハミンが定年退職後の"現在"から振り返るという形で進んでいきます。

この作品の凄い所は犯人探しという単なる謎解きだけではなく、ベンハミンと彼の上司であったイレーネとの25年に渡るラブストーリーでもあり、サスペンスとしてもラブストーリーとしても一級もの。

互いに想い合っていたものの、気持ちを伝えることなく別れてしまった二人が25年越しに再会するも、事件に関してもひっかかりを感じ、イレーネに対しても未だ引きずったままのベンハミンに対し、イレーネは事件のことは過去のこととして蓋をして、結婚して子供にも恵まれて"今"を生きていて、男女の考え方の違いなのか二人が対照的なのも興味深い。

サスペンスとしても二転三転と展開させ、最後までしっかりと緊張感を保っているし、白熱するサッカースタジアムでの犯人逮捕劇は見物。"A"が打てないタイプライターやメモ書き、伏せられた写真立てなどの伏線も見事でした。

そしてタイトルにもなっている"瞳"をしっかりと捉えたカメラワーク
言葉でどれだけ嘘を並べて取り繕っても、瞳に嘘はつけない
瞳は真実を語る

犯人の瞳の奥に隠された秘密に気付けた二人なのに、どうして25年前に互いの想いに気付いて伝えられなかったのか・・・
気付いていたから伝えられなかった、の方が正しいな・・・

ベンハミン役のリカルド・ダリンさんの渋いお顔と深みのある演技も素敵でした。

今年公開された「シークレット・アイズ」はこの作品のハリウッドリメイクとのことなので、またそちらも見比べてみたいと思います。
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