ねむ

瞳の奥の秘密のねむのレビュー・感想・評価

瞳の奥の秘密(2009年製作の映画)
3.8
アカデミーの外国語映画賞を受賞した映画。

若くて美しい人妻の暴行殺人を扱ったアルゼンチン映画で、タイトルからブラックジャックの「瞳の中の訪問者」を連想したりしますが、この話では被害者の角膜に残った犯人の残像が…というような展開はまったくありません。
「瞳の奥」はあくまで詩的な表現。

20年以上前に起こった、銀行員の妻の暴行殺人事件。
捜査を担当した主人公は、すでに引退し、初老となった現在、その事件を忘れることができず、小説として書き残そうとする。
苦い結末を迎えたその事件の記憶は主人公と、年下の上司(女)との苦い失恋の記憶とも重なっていた。

過去と現在が交錯しつつ、前半は20年前の時間軸をメインに事件の真犯人探し、後半は「現在」の主人公と女上司の愛のゆくえを描きつつ
事件の意外な顛末が明かされます。

主人公と、暴行殺人の遺族の夫、犯人、という三人の男性は、それぞれ「手の届かない女性」に一途な愛(ある意味執着)を抱く という点で
共通しています。
そのそれぞれの愛の顛末が描かれていきます。

南アメリカ製の映画で、少し敷居が高く感じるのですが、ミステリーっぽい部分もあり、飽きさせません。
真犯人を追い詰めるサッカー場のシーンは、遠景の空撮から手持ちカメラで犯人の背中に迫るところまでまったくカメラがとぎれることなくワンカットで撮ってる…ように見え、どう撮影したかはまだ秘密だそうです。

全体に派手なカーアクションも爆発もない、静かな感じの映画ですが、これが本国アルゼンチンでは記録的なヒットとなったそうで…。
あちらで有名な俳優さんが出てるというおかげもあるのかもしれませんが、アルゼンチンの人の映画の趣味は意外と渋いな!と感心してしまいました。
ねむ

ねむ