ワンコ

バンクシー 抗うものたちのアート革命のワンコのレビュー・感想・評価

3.8
【霊感ホテル】

コロナ禍のなか、バンクシーが一度、確か医療従事者向け支援ということで様々なグッズに自身のグラフィックアートをあしらってオンライン販売をしたことがあった。 ”自身の”と書いたけれども、バンクシーはアート集団であることが分かっている。

ただ、それはオークションではなく、値段は明記されていて、商品数は限られているのだけれども、エッセイを(英語で)書いて付けるのが選定の条件だった。

落ちた。まあ、あたりまえか。

バンクシーは、反戦、反紛争、反権威、反権力のアーティストだ。

メットやMOMAなど有名な美術館に自分(達)の作品を勝手に展示したのは笑える。
特に、(おそらく)MOMAがなかなか気が付かなかったのには驚きだ。

良い気になてって高値で作品を買おうとする輩には序盤で映されるようなシュレッダーの刑もある笑

ただ、シュレッダー込みで、あれを購入したのだと、落札した人が、付加価値が上がったと喜んでいたように記憶している。

僕はインスタでバンクシーをフォローしているので、あのシーンがアップされた時は、”バンクシー、やったな!”と面白がったけれども、結局、所有者は大喜びしていて、バンクシーも藪蛇の気分だろうななんて想像もした。

日本では、アーティストは政治に口出ししちゃダメなんて雰囲気はある(単に、バカのウヨ公がそう主張して吠えているだけかもしれない)が、世界的にはそんな風潮は、専制主義国家に残るのみだ。

ピカソの「ゲルニカ」、渋谷の井の頭線とJR・銀座線をつなぐ通路にある岡本太郎の「明日の神話」は良い例だ。

そんなアートは世界中に転がっている。

もし、バンクシーが日本にいたら、安倍晋三んちとか、麻生太郎んちとか、萩生田の選挙事務所とか、日本会議の本部とか主要メンバーんちとか、あと、安倍晋三たちとつるんでいた旧統一教会の事務所とかにグラフィックアートを残さずにはいられないだろう。

バンクシーは、ガザに「世界一眺めの悪いホテル」を作ったのだけれども、日本だったら、旧統一教会の本部の前あたりに「霊感ホテル」なるものを作っただろうか笑

こいつらの発狂間違いなしだ。

アートには時代の要請もある。為政者や時の権力者の要請もある。期待と幻滅もある。偉大な作曲家のベートーヴェンだってそんなものに振り回されたこともある。

僕たちが今ありがたがっているルネッサンス絵画だって同様だ。

今、人気のアーティストだからと言って、うわべで評価するのは薄っぺらい行為だと思う。

ニューヨークのアートディーラーにちやほやされ、今は消えたも同然のアーティストもたくさんいる。

その人(達)がどんな人(達)かより、アートから何を読み取るのか、どんなことが背景にあるのか考えられるか否かが重要なポイントで、なんとなく人気のあるアーティストより、主張のあるアーティストの方の息の方が長いように感じるのは僕だけじゃないと思う。
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