ポルりん

怪獣総進撃のポルりんのレビュー・感想・評価

怪獣総進撃(1968年製作の映画)
2.3
東宝が怪獣映画及び特撮SF映画の20作目を記念した怪獣オールスター映画。


あらすじ

小笠原諸島の一角に、これまで日本を脅かしていた怪獣たちを集めた怪獣ランドという居住島が作られた。だがある日、地球を狙うキラアク星人によって怪獣ランドが襲われ、怪獣たちが島を抜け出してしまう。


本作を初めて鑑賞したのは、小学生低学年辺りであり、当時は10頭もの怪獣を操るキラアク星人に絶望感を感じ、どのようにして人間側がキラアク星人を倒すのかとワクワクしながら鑑賞していた。
しかし、改めて大人になってから鑑賞したら、人間側の宇宙船SY-3が超万能なのとキラアク星人が想像以上にアホだったので全く絶望感を感じる事なく観ることが出来た。

キラアク星人もアホだが人間側も負けず劣らずのアホだ。
月に怪獣をコントロールする装置があるらしく、SY-3で地球から月に向かう。
目的は怪獣をコントロールする装置を強奪する事だ。
力業でコントロール装置の場所までたどり着き、コントロール装置を強奪しようとするがサンダーでは切断出来ないので、SY-3のレザーを使って切断しようとする。
レザーを使っても全然切れそうになく、これ以上レザーを使うとSY-3が壊れ地球に帰れなくなると部下が言うが隊長は、

隊長「地球に帰る事なんて考えるな!!」

と、部下に怒鳴り付ける。

いやいや、今回の目的は怪獣を操るコントロール装置を強奪して地球に持って帰る事だろ。帰れなくなったら意味ねーじゃねーか!!

このような場合は、まず上司に報告し、指示を待つのが常識だ。
何で現場が勝手に行動してんだよ!
報・連・相を知らんのか!
緊急を要する事態ならまだしも、全然上司に連絡する余裕がある状態だし、何より人類の存亡が掛かった重大な任務だ。

奇跡的に切断出来たから良かったものの切断出来なかったらどう報告するつもりだったんだ。

隊長「すいません。コントロール装置をSY-3のレザーを使って切断しようとしたんですけど、出力上げすぎたらSY-3壊れて地球に帰れなくなりました。」

とでも上司に報告するつもりだったのか!
そんな報告されたら、私ならぶちギレるぞ!!

ついでに、このコントロール装置、一番荷重が加わる支柱が一番細いという意味不明な設計をしている。

まあ、これ以外にも細かい所を言ったらキリがないくらいツッコミ所が満載で、人間ドラマはかなり退屈なものとなっているのだが、良い部分もある。

本作が公開された1968年は、戦後アメリカの占領下にあった小笠原諸島が日本に返還された年である。
このような時代背景から、本作では小笠原が物語の発端として選ばれた。
こういった時代背景を元に製作されるのは個人的には好みであり、公開した時に鑑賞すると物語に入り込み易くなるし、後々に鑑賞しても時代背景が分かり勉強にもなるので良いと思う。

また、ゴジラが人類の敵になるのも私好みの展開であった。
元々、ゴジラは反核というテーマが込められた作品であり、1作目のゴジラは核実験という人類の愚行によって生み出された怪獣で、復讐者として人類に襲いかかる。
それが、5作目からゴジラは人類の味方となり守護神のイメージに変化してしまう。
商業的にはいいのかもしれないが、ゴジラが味方になってしまったら、本来の反核といったテーマが無くなる所が逆のテーマになってしまうので、私としてはゴジラが人類の味方というのは違和感しかない。

しかし、本作ではキラアク星人に操られているとはいえ、ゴジラが人類の敵として登場している。
確かに反核といったテーマは皆無だが、それでも私はゴジラが人類の敵として登場する方がしっくりくる。
また、襲う場所がニューヨークというのがまた良い。

あとは、音楽が良い事くらいかな。


確かに前半の怪獣パートは良いと思うが、本作は基本的に安い人間ドラマがメインなので結構退屈であった。
人間ドラマはどうでも良く、1つの映画で多くの怪獣を見たい人にはオススメ出来るが、それ以外の人にはオススメしにくい作品である。
ポルりん

ポルりん