♪ 君にあえたら、君にあえたら
何もいらない もう何も…
これは全力でオススメ“できない”案件でした。
特に“親”の立場である人は絶対に観たらダメです。マジでツラいです。ガチでエグいです。涙がひたすらに流れていくだけなんです。
いやぁ。やっぱり𠮷田恵輔監督はスゴい。
今回は少し手を抜いているかも…なんて思った自分が間違っていました。油断していたら容赦なく叩きつけてくるんです。
だから、出てくる俳優さんも圧巻の極み。
思うに、石原さとみさんの代表作は本作になるんじゃないでしょうか(シン・ゴジラも捨てがたいですが)。まさに女優冥利に尽きる…そんな存在感でした。
また、青木崇高さんも地味に良いんです。
僕なんか、完全に自分を重ねていましたからね。寄り添いたい、でも寄り添えない。そんな距離感があまりにもツラくて…飄々とした感じの裏にある想いがビンビンと伝わってきました。
だから、止まらないんですよ。
正直なところ、観るのを止めたいくらいにツラいんですが、先が気になるんです。
そして、いつしか自分も祈っていました。
ご都合主義と言われてもいい。ファンタジーやメルヘンだと言われてもいい。救いを。彼女と彼に救いを。そんな気持ちが毛穴から漏れるほどに満ちちゃうんです。
いやぁ。やっぱりこれは犯罪ですわ。
𠮷田恵輔監督はガチな題材を扱ったらダメですよ。もっと温くて“のほほん”とした作品を創ってくださいよ。もしくはエロいやつ。『机のなかみ』とか『さんかく』を超えるようなやつ。
まあ、そんなわけで。
不意に子供を失った親の姿を描いた物語。
ビジュアル的には普通なんですが、中身はかなり濃いので注意が必要。「先が読める脚本だなあ」なんて思ったとしても、それは罠ですからね。先にあるのは真の“絶望”ですから。
なお、鑑賞するならば、横糸で流れるマスコミ批判とネット社会への警鐘も回収しておくが吉。特に後者は“自身の言葉が他人を傷つける”という原理原則を思い出したほうが良いと思います。
勿論、それは僕も同様。
こういう映画の感想ですら、時にナイフとなり得るのですから…。