KnightsofOdessa

emptyのKnightsofOdessaのネタバレレビュー・内容・結末

empty(2023年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

中嶋駿介監督新作短編上映会にお呼ばれしたのでありがたく鑑賞。映画は正方形の画面の中心で、呆然とするアズサのショットから始まる。彼女の目線の先にあるカメラはゆっくりと引いていき、そこが診察室であると分かる。しかし問題があるのは夫の方らしく(ずっとアズサとばかり思っていた)、彼はすぐに自殺してしまう。遺されたアズサはラブホテルで清掃と受付バイトをして生活していた。そこで使用済みコンドームを見た彼女は、穴開け作業を開始する。世界への復讐にようでもあり、異様に長い画鋲で無造作に穴を開ける行為はどこかセックスにも似ている。だからこそのラスト、夫は車という密閉空間から出てきたのではないか。終映後の舞台挨拶で、アズサが泣いてしまうシーンを最初に撮り、それが彼女のキャラ付けに役立ったと語られていたが、身体は空洞なのに涙は出るのかよと思ってしまった。まぁ別に出ても良いんですけど、ハワード・ホークス『コンドル』の帽子から滴る雫みたいに、メタフォリカルな描写に置換するのも可能だったんじゃないかと思うなど。
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