【犯人の座】
フランソワ・オゾン監督のクライム・コメディー作品
〈あらすじ〉
有名映画プロデューサーが自宅で殺害される事件が発生。容疑者として浮上した女優マドレーヌだったが、無罪を勝ち取る。そんな彼女の前に大物女優オデットが現れ、衝撃の発言をする…。
〈所感〉
オゾン監督作品は結構見ていてシリアスでシニカルなサスペンス味の強い作品が多いなぁという印象だが、本作はコメディ路線にだいぶ振り切っていて、アリバイもなく容疑者扱いされた可哀想な主人公の筈が、自ら志願して犯人として名乗りあげた瞬間から軽快でポップなテイストになっていくのが面白い。それによって名声と金を得たマドレーヌがのし上がっていく。すると、真犯人と名乗る女性が現れ、そこからもう一展開有りで見事に終始監督の掌の上で転がされて気持ち良かった。女優の卵マドレーヌと弁護士ポーリーヌのキャラ設定が良く、二人が共謀して、弱い女性の立場を利用して民衆の支持を得ていくカウンターパンチが美しく鮮やかな脚本でした。膀胱は良好。エンディングまで軽妙洒脱で文句なし。