1953年、国共内戦に敗れ、日本人の去った台湾に逃れて来た国民党は、徹底的な反共恐怖政治を行う。
密告が奨励され、少しでもアカだと疑われた者は、強制収容所送りとなる。
これは白色テロの時代に、孤島の収容所に送られた女性たちの物語。
軸となるのは絵を描くことが得意な高校生シンホェイ、クリスチャンの看護師イェン、妹を守るため自白したダンサーのチェン・ピンの三人。
この時代を描く台湾映画は多々あるが、収容所の女性たちを描いた作品は初だとか。
私も全く知らなかった。
当局にとって、本当にアカかどうかは問題では無い。
アカと思われたこと自体が罪なのだ。
収容者に課せられたのは思想改造、すなわち自ら考えることをやめて、国民党に盲従すると誓うこと。
第二次世界大戦後まだ8年の頃なので、台湾には元々住んでいた人たち、大陸各地から逃れて来た人たちが混在し、登場人物の言語は北京語、台湾語、日本語が入り混じる。
新参者の政権にとっては、この状況自体が恐ろしい。
女性たちは希望の見えない過酷な日々を送り、権力は硬軟あの手この手で転向の血書を書かせようとし、痛ましい犠牲も出る。
でも大半の収容者たちは自分で考え、判断する権利を捨てない。
これは後に民主化される、台湾の思想的多様性という礎を築いた人たちの物語。
「犠牲」に関する、イェンの言葉が強く心に残る。
過去に独裁から民主化と言うプロセスを経て来た民主主義は、色々な意味で打たれ強そう。
台湾だけでなく、普遍的な物語だと思う。
ラストのあったかも知れない、もう一つの世界線が切ない。
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