Shoki1812

PERFECT DAYSのShoki1812のネタバレレビュー・内容・結末

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞直後の印象と感想

•手触りのある生活
朝、生活音で目を覚ます。小さな植物に水をやる。コーヒーを飲む。カセットをかけながら通勤。手作りの道具も使って仕事をする。空を見てご飯を食べる。写真を撮る。銭湯に行く。馴染みの飲み屋に行く。古本屋で買った本を読んで寝る。
 文章にすると味気無いが、1つ1つが手触りのある生活だと感じる。そう思わせる役所広司さんの演技も凄い。
 
•外から見た東京という街の面白さが伝わる撮り方
 制作者にドイツ人が入っていることもあり、海外の人が見る東京の面白さを切り取っている画が多かった。首都高、同じようなビルが延々と並ぶ町並み、下町とスカイツリー、独創的なトイレetc.。ヨーロッパの都市の似たりよったりを体験していると、東京という街が如何にカオスか。

•世界は一つじゃない、交わらない世界もある
 作中の役所広司さんが演じる役の言葉。「世の中に関心を持とう」「社会と繋がろう」みたいな言説が多いが、本来世界ってもう少し小さくて、交わらない部分もあるよね、と同感。インターネットで繋がると、どこも交わるように感じるけど、きっと自分の大切にすべき世界の大きさは変わっていない。
 ただ、身近な人との世界が違うものになってしまうのは、寂しい。

•何の変哲もない、変化のない生活はない
 変化ってしんどいけど、それも含めて人生だよねという、最後のカットからも感じたメッセージ。

【批評等を読んでからの追記】
この映画は渋谷のトイレプロジェクトの広報がきっかけで制作されたとのこと。海外から見た東京の魅力を備えた画作りは、行ってみたいと思わせるのに十分。
一方で「閉じた世界を描いている」という指摘を見て、私が抱いた「良さ」は閉じた世界、現実には選択しがたいノスタルジーへの憧憬かもしれないと思った。
映画くらい、そういう世界があっていいと思うが。
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