このレビューはネタバレを含みます
布団を畳むことから始まる1日。
野球のイチローのルーティーンと似ている。
イチローは野球でベストな成果を出すためにそれをするが、平山は?
仕事のためか、その日1日のためか。
情報量とメッセージ性が反比例する作品。
天候にも左右されない男が、人との関わりの中で揺れ動かされる。
なにも言わず、ただ顔を会わせるだけの「木」が友達ならば、同じく顔を会わせるだけの隣の女、顔を見かけるホームレスの佇まいの老人は、一体なんなのだろう。
少なくとも、彼の空間に入った存在は、往々にして受け入れられる。
いくつかの描写から推察すると、彼が今の生活を始めて、何年、もしかすると10年以上経っているかもしれない。
我々が覗き見たのがその中の一部、と考えると、彼は別にこの映画の中で、葛藤し、成長したわけではなく、
何年もの積み重ねの中で苦しみ、笑い、いとおしみ、その結果、今の彼と言う達観した存在ができた。
そしてそれでも尚、いまだ一喜一憂し、これからもこの日々が続いていく。