福福吉吉

枯れ葉の福福吉吉のレビュー・感想・評価

枯れ葉(2023年製作の映画)
3.5
◆あらすじ◆
アンサはヘルシンキでスーパーマーケットの店員として働いていたが、予期せぬ形で突如解雇される。一方、ホラッパは建設現場で働いていたが、勤務中でも飲酒していたことから解雇される。2人はカラオケバーで出会い、お互い惹かれ合うのだが...。

◆感想◆
孤独な2人の男女の恋愛劇となっており、そこには派手さは無いものの、世間の荒波の中で2人の男女が近づいたり遠ざかったりしていく姿にはリアルさと人の温もりを感じさせるものがあって最後までじっくり楽しむことができました。

アンサ(アルマ・ポウスティ)は何事においても毅然とした態度で接する心の強さがあり、現代的な女性の在り方を体現しているキャラクターのように見えて、感情移入できました。

それに対してホラッパは常に飲酒を欠かさず、それが原因で人間関係を駄目にしてしまう人物として描かれており、あまり感情移入できないキャラクターでしたが、所々で彼自身のユーモアに富んだ行動や会話があって、興味をそそりました。

アンサとホラッパはカラオケバーで出会い、それをきっかけに関係を深めていくのですが、ホラッパが彼女の名前を聞かなかったり、彼女から貰った電話番号のメモを失くしたりと所々で失敗して関係が崩れそうになります。それでもアンサはホラッパに対して好意的で、彼女の懐の深さを感じました。

本作は基本的に静かに進んでいき、それが日常の平凡さを現していたように思います。また、全ての登場人物が表情で感情を露わにすることが少なく、その点で喜怒哀楽がはっきりしない部分がありましたが、行動の変化でそれを察することができました。その点で表情で喜怒哀楽を示すことの不自然さを排除したのかなとも思いました。

ストーリーの合間にラジオからロシアのウクライナ侵攻のニュースが挟み、また、主役の2人とも解雇の憂き目に遭っており、現実の悲惨さを感じさせるものになっていました。その中で繋がる2人の気持ちの温かみをより強く感じました。

独特の静かな雰囲気の中で紡がれる2人の恋物語としてなかなか面白かったです。

鑑賞日:2025年4月12日
鑑賞方法:CS ザ・シネマ
(録画日:2025年3月27日)
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