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ルナ・パパ 4Kレストア版のbarakachanのレビュー・感想・評価

ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)
4.8
かなり久々の鑑賞。やっぱり大好き。

妊娠した未婚の少女がお父さんと障害をもつお兄さんとともに父を探しに行く話。

砂漠の村には、どうしようもない軍隊や、馬の群れ、そして、劇団のプロペラ機までが、自由に往来する。ソ連崩壊、そしてタジキスタン内戦後の影響か、秩序の壊れた感じが、不思議とリアルなのは、そんな、世界が近くにあったのかもしれない。人もあっけなく死ぬ。
タジキスタンに生まれた監督だからこそ描き出せた世界観だと感じる。クストリッツァに通じるものを感じるのは、見てきた世界が似てるのかもとも。

村の人は未婚の彼女に対し、苛烈な対応をする。性には寛容にみえるけど、婚姻外の妊娠には厳しい。

そんな厳しい現実を夢かうつつか分からないようか描き方をし、この家族の生きる強さを映し出している。見方を変えると、正気では乗り切れないのかもしれない。

ただ、忘れたくないのは、この映画の主人公はお腹に宿った「ぼく」。みんなが「ぼく」が産まれてくるために存在してたかのよう。いろんな奇跡の積み重ねで、ぼくは産まれ、私たちも存在する。ということで、女性讃歌であり、人生讃歌の話に感じた。
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