LalaーMukuーMerry

タイタニックのLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
5.0
昔見て(少なくとも10年以上前)印象に残っている私の中の名作をもう一度 シリーズその12
          *
私は歴史上の大事件に基づく話や、サイエンスの裏付けが大好きなので、この話の導入部で当時世界最大の豪華客船だったタイタニックのどこに氷山が当たって、どのように水が船体に入って来て、どんな風に沈んでいったかを具体的にコンピュータシミュレーションで示した映像で一気に話に入っていった。
          *
でも、「そんなもんじゃなかった」、というお婆ちゃんの体験談は、作品後半にもの凄い迫力のパニック映像で示されることになる。コンピュータシミュレーションでは考慮されなかった事、そこには生きている人間がたくさんいたという現実を、CGを使ったリアルな映像で観客は実感し恐怖を感じるのです。 CGは凄い!とその力を本当に実感したのはジュラシックパーク(1993)に続いて、この作品でした。
          *
パニック映像も凄いのだけれど、この作品が人々の心に深く残るのは、意外にも美しい愛の物語だったという点につきるでしょう。出会って急速に惹かれていく身分違いの二人、舳先のシーン、ネックレスだけを身にまとった彼女をスケッチするシーン、印象的なシーンが綴られていく。これだけでも十分面白いのだが、後半のパニックの後、冷たい海に投げ出されても、必ず生きろと自分を犠牲にして彼女を励まし続けたジャック、ローズが彼の言った通り必死に笛で助けを呼ぶシーンには涙、涙…
          *
ジャックはあらゆる意味で命の恩人だったというローズ。たった数日の出会いが、その後の彼女の人生を決定づけたということ、思い通りに生きた彼女の人生が写真でサラリと示され、ここでまた深~い感慨に胸が熱くなるのです。
         ***
この映画は1996年の5年前にはできなかったし、5年後にもできなかったに違いない。5年前にはCGの技術がまだまだだったからこれほど迫力ある映像にはならなかったし、5年後ではタイタニック事故(1912年)の生存者がいなくなって作品のリアリティが一気になくなっただろうから。だからこの奇跡のような作品に巡り合えたという幸運に感謝せずにはいられない。久々に鑑賞しましたが、冒頭にあのメロディーが流れただけで涙が…、やはり素晴らしかった!