Kou

タイタニックのKouのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
4.5
『船の切符は僕の人生で最高の贈り物だった──』


最近、寒波来ましたね。
そんな肌寒い日はあえてこちらを。

まぎれもない名作ですね。
といっても今日という今日まで
観ていませんでしたが…

『名作と呼ばれるのには理由がある』
そう分かっていながらも、観るものを選んでしまう自分の悪い癖をいい加減直したいですね。以下レビューです。



綺麗、本当に綺麗な作品でした。
夕日にきらめくタイタニック号と、
若々しく“今”を生きる二人。
そんな美しい二人とともに流れる名曲
『セリーヌ・ディオン ─ My Heart Will Go On』

観た後でも余韻がずっと残るんですよね。
あのシーンは、今まで見た映画の中で一番の美しさかもしれません。



さて、この映画の“魅力”が美しさなのは間違いありませんが、この映画の“ミソ”はそこではありませんでしたね。
それは『善悪の描写が半々』なところ。

本作は、「人間の美しさ・勇ましさ」も「人間の醜さ・愚かさ」も沢山、そして同じくらい描かれているんですよね。



ローズの婚約者や母親のように、
生きるために手段を選ばない卑劣な者もいれば、
主人公やヒロイン、音楽家、ベッドで横たわる老夫婦のように、自分の運命を受け入れ、今を精一杯生きようとする者もいる。



つまりこれって、沢山の登場人物を通じて本作を見た観客に、こう問いかけているわけです。

「あなたは醜く生きたいですか?」
「それとも誇りを抱いて死にたいですか?」
『あなたの人生、何を選び、どう生きますか?』と

簡潔ながら心にくるものがありますよね。



また本作は、史実を元にしたフィクションではあるものの、実話映画と同じかそれ以上の“重み”があるんですよね。

2200人以上が乗船し、そのうち1500人以上が亡くなったと言われるタイタニック号沈没事故。
本作はそのうちの「たった一人の女性」の人生の一部を切り取ったものに過ぎないんです。残りの2199人にも同じように人生があり、物語があるんです。



ただの恋愛パニックムービーとしては到底語りきれないこの『重さ』と、そこに燦然と遺る『美しさ』があるからこそ、ここまで支持されてきたんだなと、つくづく感じさせられましたね。
というわけで、まぎれもない名作でした。

(罫線部下より少しネタバレ有)
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ラスト、泣けましたね。

自分の半生を語り終えたローズは、温かいベッドで眠りにつき、あるものを見る。それは、ウェディングドレスを着たローズがジャックの元に向かい、それを見たタイタニック号にいた人達に拍手されるというもの。



夢か、天国か──

キャメロン監督は「観た人それぞれで解釈してほしい」とのこと。なんともニクく、そして粋な終わり方ですよね。



2018年1月27日 22本目
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