映画ケーン

タイタニックの映画ケーンのレビュー・感想・評価

タイタニック(1997年製作の映画)
3.8


船と氷山が出会う映画



189分(約3時間10分)も恋愛映画を見せられちゃたまったもんじゃない、と思ってたけど、これが結構面白い。

「恋愛映画特集」でトップ10が発表されて『カサブランカ』『(500)日のサマー』『タイタニック』『ローマの休日』等が並ぶ中、敬愛する評論家の1人の高橋ヨシキさんは、どれが好きかと聞かれて、「”そのトップ10の中で言うなら”『タイタニック』が良い」と、言ってた。なぜなら「大勢の人が死ぬし、それが見せ場になっていて見世物的に面白いから」と(その後、ヨシキさんは『ザ・フライ』、コッポラの『ドラキュラ』を紹介してた)。
で、実際観てみると本当にそうなんだよね。そこが1番お金掛かってるし、後半はほとんど沈没で人が落ちたり、溺れたり、潰されたり。
「船が沈む」というパニック映画要素に『或る夜の出来事』『ローマの休日』の様な格差間の恋愛を入れて厚みを出したという印象。
だから、恋愛とパニックの映画。

ただ、世間一般的には女性に人気があるイメージ(あくまでイメージ)があるんだけど、今作のディカプー演じるジャックは、どうみても正義じゃない。
船が直角になった辺り、ジャックは明らかに余裕あるのに落ちそうな人を助けてなかったり。
こんな男性が素敵なの?これが人気の恋愛映画なの?

そして、これは僕の単なる主観なんだけど、ビリー・ゼイン演じるギャルドン(ディカプーに彼女取られた人)の描かれ方が酷過ぎるw
彼は確かに酷い奴だけど、それがステレオタイプ過ぎる上に、最終的に、2人の関係に負けて利他的な行動を取るのかと思ってたら、最後まで最低な奴。ちょっとその描き方無いでしょ〜。彼に最後の最後に良い所を出してあげて欲しかった(映画内と映画外の視点が混ざってるw)。

あとは、ケイト・ウィンスレット演じるローズが美女だったから、ジャックに目を付けられて助けてもらえた訳で、美女じゃなきゃ自殺してたし、結局の所、「側」の話だよな、と思う。
そもそもジャックが船に乗れたのも偶然(運)であって必然性が無い。

結局は選ばれた美男美女のどうでもいい希薄な恋愛映画。
沈没シーンは迫力あって「ギチギチギチッ」って軋む音もリアルで怖くて良かった。
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