みんと

ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家(シネアスト)のみんとのレビュー・感想・評価

3.8
ゴダールが“なんか好き”に昇格した今こそ“なんか”を取っ払うべく鑑賞。

概ね、ゴダールに持ってたイメージ通りのドキュメンタリーだった。
またゴダール映画の鑑賞法、もしくは生前ならばゴダールのトリセツ作品のようにも。

何者にも縛られない、媚びない、我が道を行く、いわゆる典型的な芸術家気質。
おそらく知的レベルが高すぎて、感性も独特すぎて、凡人にはちんぷんかんぷん訳分からないとなるのだと思う。

これまで鑑賞を重ねてきた11作品。それらと今作を重ねてみると、確実に見え方が違って来るだろうなぁ…。鬼才ぶりにひれ伏すかも?もしくはやっぱりちんぷんかんぷん?笑

数々のエピソード、名言、いや迷言、主演女優をはじめ関わった人達のインタビューを通して、人間ゴダール、芸術家ゴダールが見えてくる。

なんだかんだで憎めない変なヤツ、嫌い嫌いも好きのうち的な気になる存在、照れ屋、捻くれ者、不器用で寂しがり屋で、人一倍愛に飢えた人物…
そして究極のひとたらしだと思う。

結果、理由なんてない。
知性に惹かれる
才能に惹かれる
作品に惹かれる

アンヌ・ヴィアゼムスキーとの再婚後、次第に居場所が無くなっていくゴダールが、もはや彼の信念に合わない映画作り、増大する怒りをスクリーンで表現したと言う『ウイークエンド』
ガチガチの政治期を経ての第2の処女作とも言う『勝手に逃げろ』
…2作がめちゃくちゃ気になる。

そして、カッコ良くキマってるゴダールのラストショットを前に予想外な感情に包まれた。
目頭が熱くなり“たぶん“は取り払われた(気がした)。
ゴダールの人間性を丸ごと受け入れた瞬間だった。


インタビューで、「彼が好きよ」と照れるアンナが可愛いかった♡
みんと

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