MINAMI

乱れるのMINAMIのレビュー・感想・評価

乱れる(1964年製作の映画)
4.5
成瀬巳喜男監督

いや〜、またこれは日本映画を圧倒する大傑作を観ましたよ。
繊細な表情と心情を丁寧に丁寧に映し出す。
加山雄三パイセンの、凛々しく逞しい鼻筋と目。

境内で語られるお互いの熱い気持ちはたまらん。(なんでお寺に呼んだ?)
「私だって女よ」「あなたこそなんでもっと目を開かないんだ」
はい、日本ベストオブ境内トーキング賞を贈呈します。

そして乗り込んだ電車内での2人ときたらもう…
視線を合わせた2人の表情、涙の理由。
誰かを愛してしまっては、その人のことが頭から離れない。近くにいて欲しいけど、遠くから眺めていたいのよ。ずっと一緒にいたいけど、私たちそうもいかないのよ。
ラストのラストでは思わず、オッッップゥ…と謎の声が出てしまうほど。

突然の出来事、走り出す朝、おぼつかぬ足取り、
あなたとはこれが最期。
髪の毛は、乱れる。
「終」

井伏鱒二的に言うならば、
「さよならだけが人生だ!」
MINAMI

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