うぉぉここで終わるのか…
ラストの高峰秀子の表情が。怒りでも悲しみでも後悔でも諦めでもない、あの表情!鳥肌たった!
戦死した夫の年の離れた弟からの、ある告白を境に、平凡で穏やかな日常が、封じ込めたはずの女の情念が、乱れる…。
そして終盤、それまでの日常から遠ざかるにつれ、だんだん座席と心の距離が近づく、列車に乗ってからのシークエンスは、もう完璧。
迷い揺れる主人公の繊細な心の襞を、わずかな台詞やちょっとした仕草・表情で、丁寧に描いていく。
複雑な話でもなく登場人物も多くない、でもそのぶん描かれる感情がとても濃密で。こちらの心も、ガシッと掴まれ引き込まれてしまった。