すっきりしない終わり方の背景を調べてみた。
映画「アルジェの戦い」で,フランス軍に包囲された独立軍は道連れに自爆して全滅して終わる。その後実際には独立するので,不朽の名画になっているが,この戦いは3世まで続いた現地フランス人が特権を維持しようとし,極右が支持。ドゴールが担ぎ出されて独立承認への舵を切る。これが映画「ジャッカル」のドゴール暗殺計画の背景。
その過程で,アルジェリアでは独立派の分裂と過激化が進行。本来の原住民ベルベル人が伝統的に少数の仲介者として生活していたことから,フランス人が逃亡した後,虐殺・抑圧され,アラブ人の間ではイスラム過激派が多数になる。フランスが戦後すぐに独立を承認したらよかったのに,決断できずに居座ったのが根本的に失敗だった。
政治的には少数の共和派を代表して軍部が共和制を維持しようとする勢力となるのは,エジプト,シリア,リビアなど他のアラブ諸国と同様である。都合である時期までは欧州は好意的,ある時期から敵対して,爆撃して現地政府をつぶすのも共通。
20世紀末に極度に治安が悪化し,劇中で語られる主人公の父の最後のような事件多発。アラブの春の後の今日(映画制作時は2022年)状況はまた悪化している。
イスラム原理主義が幅をきかす今日,警察はテロリストとつるみ,道では黒いフラールを被るが,ダンサーの母を持ち,バレエを習う,主人公のような女子に対しては,救いが同じ境遇の仲間との交流しかなく,同じような被害が繰り返される。