うっちー

マイ・ファーザーのうっちーのレビュー・感想・評価

マイ・ファーザー(2007年製作の映画)
3.4
 後に『トガニ』『怪しい彼女』などの秀作を作る監督の作品が観たい!と探していた。少しずつ観ようと思っていたが、どんどん引き込まれて最後まで一気見。後の三作の方が優れてるかもだが、今作も地味ながらしっかりしている。

 欧米に養子に出される韓国人の子供の話には、『冬の小鳥』などがあるけれど、今作の主人公もそうしてアメリカで育った明るく健康的な青年。彼が実の両親を探すため、わざわざ在韓米軍に入る、というところから始まるストーリー。ある意味、『ライオン 25年目のただいま』に近いかも。実話だという。

 テレビ出演や新聞による報道で名乗り出た父親と再会するが、父は塀の中、それも死刑囚だった、という、かなり辛い展開。
 この父には秘密があるようで、探ってゆくと残酷な事件を起こしていたり、DNA鑑定をすると他人であると判別されてしまうなど、父を知ってゆくたびに苦しむ彼。素晴らしい育ての親や家族との話を盛り込みながら、物語は進み、切ない思いを胸に、彼は帰国する。

 なにしろ、彼を演じるダニエル・ヘニーが、素晴らしい。やさしげな顔、すっきりと伸びた手足と逞しすぎない絶妙な厚みのある身体つき、どんな動きや服装もさまになる全身スタイルの美しさ。自分を捨てた親を憎まず、しかし衝撃の出会いから戸惑い、悩む様子までが、とても自然に感じられる演技。純粋だからこそ悩む姿が、なんとも痛々しく、また愛おしく感じられた。彼無くしては成立しない作品だろう。
 最後の実際の映像は衝撃的で、なんともいえない切ない気分になった。
 ファン監督はやはり相当総合力のある方だと思う。シリアスなだけでない細かいユーモアやちょっとしたシーンの余韻、また音楽使いも巧み。ほんと素晴らしい。