こうだい

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。のこうだいのレビュー・感想・評価

4.0
泣ける恋愛映画。最後はボロボロ泣いた。

ー突然1945年にタイムスリップした女子高生、そこで恋に落ちた相手は特攻隊員でした。ー

“お国の為に命を捧げる”という戦時中の異様な空気感に対して、女子高生の百合が愚直に想いをぶつけて行く。その想いはただの正論ではなく、より人間の根源的な部分へとアプローチして行くものに感じた。だからこそ戦時中の人々は高圧的に反発するか、動揺するかのリアクションを取って行く。いくら思想や空気感に洗脳されていても、そういった素直な感情は隠しているだけで誰もが持っているということを会話の端々に感じ取れてしまうのが辛かった。

“もうすぐ戦争は終わるのに。どうせ日本は負けるのに。”

未来を知っているからこそより強くなるその想いをいくらぶつけても、いくら止めても彼は突き進んで行ってしまう。「百合は戦争に負けるのが怖くないのか?」という彰の台詞。単純で見落としがちだが、確かに抱いていたであろうし、大きな原動力になるのも納得してしまう。1度も戦争に負けたことが無い日本に生き、未来を知らなければ尚更に。「戦争のある時代に生まれてしまった」という言葉が、一緒に生きてくれるんじゃないかという希望を打ち砕き、ある種の諦め、ないしは無力感を突き付けてくる。他人を助けて自らは亡くなってしまった百合のお父さんや、特攻隊員が「命が1番大事だろ!」と叫ぶ場面等々、最も容易に想像し得る結末が迫ってくるのがやはり辛かった。

最後はやはり泣ける恋愛映画でした。
こうだい

こうだい