福福吉吉

あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。の福福吉吉のレビュー・感想・評価

3.0
◆あらすじ◆
高校生の百合(福原遥)は母と喧嘩して家を飛び出して、近所の洞穴に逃げ込む。百合はその洞穴で眠ってしまい、目が覚めると1945年の6月、戦時中の日本にタイムスリップしていた。戸惑う百合は通りがかった彰(水上恒司)に連れられて鶴屋食堂に行く。そこで女将のツル(松坂慶子)に迎えられ、百合は食堂で働くことになる。客としてやってくる特攻隊員の彰たちと仲良くなっていくが、戦争の顛末を知る百合は彼らを死なせたくない想いが募っていく。

◆感想◆
原作小説は読んでいません。

現代の女子高生が戦時中の日本にタイムスリップして特攻隊員に恋をするストーリーとなっており、戦争の顛末を知る故にタイムスリップした日本で知り合った人々の運命に悲しみを隠せない主人公の思いが伝わる作品となっていました。

高校生の百合はシングルマザーの母が仕事を掛け持ちして育てられていて、学校の教師や同級生たちと噛み合わず、現状に不満を抱いていました。最初の時点では百合に対してあまり感情移入できませんでした。百合の中で貧しい家庭で将来的な展望が見出せず、大学進学せずに働こうとする姿は彼女なりの母への配慮だったのかもしれません。

戦時中の日本にタイムスリップした百合は特攻隊員の彰と出会ったことで運よく鶴屋食堂に世話になります。かなりご都合主義で鶴屋食堂に訪れる特攻隊員や女将のツルなど現れる人々が良い人だらけなのですが、それ故に百合の彼らを死なせたくないという思いが募っていて、本作の伝えたい部分がよく描かれていたと思います。

百合は特攻隊員の彰に惹かれていきますが、特攻隊員の運命を知る百合の中で困惑が隠せなくて、常に切羽詰まった表情をしていて観ていて辛かったです。彰が毅然として特攻に殉じる覚悟が固まっているだけに百合の姿がより困惑しているように見えました。

ラストは予想通りのものでしたが、これ以外にまとめようのないものだと思うのですんなり受け入れられました。

百合にあまり感情移入できなかった分、本作に気持ちがあまり入り込めなかったのですが、戦争の虚しさを伝える部分がしっかりあって良かったと思います。

鑑賞日:2025年4月30日
鑑賞方法:Amazon Prime Video
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