ひでやん

パラダイスの夕暮れのひでやんのレビュー・感想・評価

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)
4.3
ゴミ収集人とスーパーのレジ係の愛の行方を描く労働者3部作の第一弾。

失礼を承知で書きますが、カティ・オウティネンは時々可愛く見える時がある。食事の場面と、荷物を抱えて部屋に来る場面でそう思った。時々って失礼ですね。

主演はカウリスマキ作品には欠かせない二人、カティとマッティ。美女でも美男でもない中年の…て、失礼。

男と女、それぞれ気だるい雰囲気を出しながらも手際よく仕事をこなし、プライベートはどちらも退屈な時間を持て余している。

不器用だけど優しくて、ダサいけど可愛くて、退屈だけど落ち着く男。そして女は孤独で気まぐれでぶっきらぼう。

鍵をかけても片手で持てるちっちゃな金庫、朝食抜きでも料金が同じホテル、耳に当ててみるレコード、「ガツンとやってみるか」と同僚に言ったのにすっぽかされる約束など、クスリと笑える場面が多い。

名前も言わず、愛も語らず、理由を飛ばして結論を言う男と、それに応える女。無表情の男女が最小限の台詞で心を紡ぐラブストーリーにじんわり。
ひでやん

ひでやん