たつなみ

アポカリプトのたつなみのレビュー・感想・評価

アポカリプト(2006年製作の映画)
3.5
町山智浩さんの『アポカリプトは”裸のジャングル”の丸パクリ』という発言を確かめるべく鑑賞。

確かに”人間狩り”という発想はそのままで似ているシーンはかなり多い。
多分許可なんて取ってないだろう。

ただ、単なるパクリではなく、エモーショナルな演出によって一つのエンターテイメント作品として上手く成立していると感じた。
クライマックスは思わずガッツポーズしてしまう程のカタルシスがある。

だが最も問題なのは、この物語がマヤ文明滅亡の前日譚であることと、メル・ギブソンが熱心なカトリック原理主義者であるということ。

やたらと残酷なシーンや激しい暴力描写があるため、どうしてもメル・ギブソンはマヤ人たちを”野蛮で文明レベルの低い連中”という目線で見ている様に思えてくる。
ラストシーンではスペイン艦隊が十字架を掲げて現れるが、それは”野蛮な連中にキリスト教という希望の光がもたらされたのだ”と捉えられる。

エンターテイメント作品に徹すればもっとスッキリとする終わり方になると思うが、監督自身のイデオロギーを入れてしまうとどうにも白けてしまう。
そう考えると実に惜しい。

きっとこれからもメル・ギブソンの作品を観ると、彼のそうした背景を感じながら観ることになるんだろう。
『ハクソー・リッジ』は大丈夫だろうか?