これってロシアの閉塞感なんでしょうか。自由に移動する父娘なんだけど決して自由ではない。自由を求めて今の居場所を飛び出ても舞い戻って来る。一方そんな自由な移動映画館を受け入れる地元の人々もなんか地元に縛り付けられている感じで自由を求めている。少年は移動映画館の車を頭目に眺めつつすべてを経験しけど退屈だと言って新天地を期待する。自由を求めつつ自由を手に入れる方法がわからずいらだつ様子が描かれていた気がした。ところで映像のマジックなんでしょうか。ガラス越しあるいは鏡越しの二人をカメラが回って映すシーンがいくつかあったけど、ちょっと不思議な気分にさせられました。ネットが普及すればおそらくは需要がなくなる移動映画館と海賊版DVD販売は、すでに日本ではほぼ皆無になってしまっているけど、ロシアだっておんなじなんだろうなあ。父はチンパンジーを飼うとは言っていたけど猿回しの大道芸をするつもりだったのだろうか。どこまで行っても草原といった感じのロシアの大地からは不思議と生命力を感じられなかった。そういう撮り方をしていたのかな。娘が壊したフロントガラスは修理したんだろうか。