このレビューはネタバレを含みます
普段単館系を観ない・石井監督を存じ上げていたわけでもない・誰かから宣伝やお薦めをされたわけでもない。そんな自分がどこでこの映画を知り何故劇場まで足を運んだかというと、耽美派の映画が好きで、耽美派の巨匠(？)と言われる荒戸源次郎監督についてなんとなくネットで調べていたら何故かこの作品がヒットし、そして石井監督が荒戸監督の元で映画制作を学んだことを知り、また石井監督の経歴にも興味が湧き、一体どんな作品を撮る方なのだろうと興味をそそられたからです。
映画については時系列が分かりにくい部分が多々あり。そして辛い(本当に辛い)ですが、全体的に奇麗にまとまっている印象でした。あとは宣伝力や営業力があればもっと多くの人に知ってもらえるのかな～なんて余計なことまで思ってしまいました。
私映画と謳っているだけあって、独白のシーンが非常に強いリアリティを以て胸に迫ります。生きたくても生きられなかった環境があること、よく分かります。辛いですね。
ロープウェイのシーンで茉耶が「どっち(に進むの)がいい？私行く方」と聞いたのに対して「俺戻る方」と真司が答えたのは、2人それぞれの意識が未来と過去のどちらに向いてるかということを指していたのかな。そう考えると切ない。
これは己との決別の物語だと思います。どんな辛い過去があっても、未来に向かって歩もうとする者は強く尊い。いつか真司が、ちゃんと照らされますように。
